MF住永翔(写真提供=明治大学サッカー部)

 明治大学サッカー部の栗田大輔監督は、2015年の監督就任以来、数多くの選手をプロへと送り出してきた。しかし監督自身が「明治大学サッカー部はプロの養成所ではなく、4年間で人間としてしっかり成長する場である」と話す。今回は指導者を目指すきっかけや、指導者として大切にしていることに焦点を当て話をうかがった。

ーー栗田監督が指導者を目指したきっかけを教えていただけますでしょうか?

 自分自身、小さな頃からずっとサッカーに携わってきました。自分の子どもがサッカーをやっていて地域の子どもたちの指導に関わったことがきっかけですね。私は静岡県旧清水市で育ったので、小さな頃から地域にサッカーが根付いていた環境でした。自分の子どもや地域の子どもたちにも、清水市のようなサッカーが楽しめるよりよい環境作りのお手伝いができたらいいなと思い「FCパルピターレ」を設立したんです。そこで「将来はプロサッカー選手になりたい」という子どもたちの夢を後押しできたらと、指導をしています。

 それと、今から25年くらい前に明治大学サッカー部のOBが「駿台クラブ」という社会人チームを作ったんですね。その時の立ち上げメンバーでもあって。その時に、社会人のチームも指導者ライセンスを持った人がスタッフにいないといけないということもあって、C級ライセンスを取ったりもしました。そういうことも重なったことが、指導者を目指すことになったきっかけですね。

ーー栗田監督が指導者として大切にしていることはどんなことでしょうか?

 選手たちの「先」を見てあげることが大切だと思います。ただそれを決めつけてしまってはいけないとも思っています。そこは私自身が広い視野を持たないと選手一人ひとりに対応できません。選手は一人の人間ですから、それぞれ考え方や個性も違うので、私もいろいろなことを学ばなくてはならないと思っています。

 また、例えば挨拶をしっかりやるとか、ゴミが落ちていたら拾うとか「当たり前のことをあたりまえに」しっかりやり続けることが、サッカーにもつながっているんだよということも選手たちには伝えています。いろいろなところで話もしていますが、明治大学サッカー部は、「プロの養成所ではなく、4年間で人間としてしっかり成長する場である」と。サッカーが上手いからといって偉いわけではないですし、サッカーが下手だからダメなわけでもないので、一人ひとりが大学生活を全うして、しっかり成長できるような指導をしています。

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