(写真提供=流通経済大学サッカー部)
2度のインカレ優勝や3度の総理大臣杯制覇など、数多くのタイトルを獲得してきた大学サッカー界屈指の強豪・流通経済大学。しかし2019年の関東大学サッカー1部リーグでは11位に沈み、2部リーグへ降格となった。しかし2003年度以来の2部リーグでは圧倒的な攻撃力を武器に優勝し、1部リーグ返り咲きを決めた。今回はチームを率いる中野雄二監督に、昨シーズンについて振り返っていただいた。
ーー昨シーズンを振り返っていただけますでしょうか?
私の中での自身への評価は満足できるものではありませんでした。2部リーグは全勝、22連勝しようと思っていましたし、2部リーグでは22試合で65点取ったんですけれども、これは1部、2部が12チーム制になってからの新記録なんです。それくらい攻撃的なサッカーをやりぬいたと思います。それから天皇杯の茨城県代表決定戦では、筑波大学さんに負けてしまいましたけど、シュート数では26対8で上回っていて試合内容も良かったんですけれど、結果1-2で負けて天皇杯に出場できませんでした。
それと#atarimaeniCUPも、法政大学さんに0-1で負けてしまって。今シーズン1点も取れなかった試合は、0-2で負けたリーグ戦前期の東洋大学戦と、この法政戦の2試合だけなんです。#atarimaeniCUPも優勝しようと思っていましたし、天皇杯でも新国立競技場で元旦に開催される決勝まで行こうと本気で思っていましたから。現在の流通経済大学は、そのくらいの戦力を備えています。2部リーグの優勝とアミノバイタルカップの優勝は達成することができたのですが、#atarimaeniCUPで優勝できなかったこと、天皇杯の決勝まで行けなかったことの2つが達成できなかったので、トータル的には50点かなと思っています。
ーーリーグ戦、カップ戦を含めて、ターニングポイントとなった試合などはありますでしょうか?
2つありました。1つは天皇杯の茨城県代表決定戦で筑波大学さんに負けた試合です。内容としては押していたにもかかわらず、試合に負けて1つの大会に出られなくなってしまった。天皇杯の出場権を失った悔しさから、選手の姿勢が変わりました。
キャプテンの伊藤敦樹も、その試合から変わりましたね。伊藤は今シーズンから浦和レッズに入団するのですが、JFA・Jリーグ特別指定選手に認定されていて、「浦和レッズ側で練習をして試合に出したい」という話があったんです。じつはその代表決定戦にも浦和レッズの関係者が会場まで来ていて、試合後はレッズに連れて帰るということが決まっていました。でも試合直後に伊藤が泣きながら「僕はまだチームの仲間といっしょに、ここ(流通経済大学)で成長したいです」と言ってきまして…。その日は浦和レッズの関係者の方にお断りを入れたということがあったんです。でもそこから伊藤敦樹の目の色が変わりましたね。同時にキャプテンが自らを律して厳しい姿勢で練習にも臨んでいたので、チームはグッと引き締まりました。
それからもう1つは、アミノバイタルカップの1回戦で産業能率大学さんとの試合です。リーグ戦の前期、産業能率大学さんとは2-2の引き分けでした。アミノバイタルカップでは、前半に産業能率大学さんに先制されたんです。流れからして嫌なムードがあったんですけれど、後半に追いつき逆転できたんです。その試合を含めのアミノバイタルカップでは5試合中3試合が逆転勝ちだったんですけれども、産業能率大学戦で苦しんだ経験をしたことで、「どんな状況であっても自分たちがやってきたことをしっかりと出し切れば勝てるんだ」という雰囲気になりました。現実的に、産業能率大学さんとの試合後は、しばらく負けませんでしたね。そういう意味で、この2つが昨シーズンのターニングポイントとなった試合ですね。