(写真提供=駒澤大学サッカー部)
1931年に創部された伝統ある駒澤大学体育会サッカー部は、ワールドカップにも出場した元日本代表の巻誠一郎など、数多くのプロを輩出してきた名門だ。数えきれないほど多くの選手を指導してきた秋田浩一監督に、印象に残っている選手や、指導者として大切にしていることなどをうかがった。
ーー数多くの選手を指導されてきていると思いますが、その中でも印象に残っている選手はいらっしゃいますか?
私は海外のチームの研究などで、サッカーの指導を離れた時期があったんですけれども戻ってきた時の3年生が浦和レッズをはじめ多くのチームで活躍した盛田剛平だったんです。彼は高校サッカーで確立されたプレースタイルはあったと思うんですけれども、私が海外で学んだスタイルなども受け入れてくれて。彼は大学ではFWをやっていて、Jリーグでも初めはFWとしてプレーしていたんですけれども、移籍したサンフレッチェ広島ではディフェンダーとして活躍していました。
あとは鹿島アントラーズに入団して、その後にアルビレックス新潟へ移籍して活躍した内田潤なども印象に残っていますね。今はアルビレックス新潟で子ども達を指導しています。
それから深井(正樹)と巻(誠一郎)の2トップも印象に残っていますね。巻は日本代表に選ばれてワールドカップにも出場しましたし、深井はいま駒澤大学の教員になってコーチをしています。身長は小さかったんですがとても上手くて。深井と巻が在学中は関東大学サッカーリーグで初めて優勝しましたし、2人一緒に得点王にもなりましたし。盛岡商業で監督をしている中田洋介も印象に残っている選手の1人ですね。当時はスタミナはあったけれど、技術はさほどでもなくて。でも真面目に練習してプロになりました。ベガルタ仙台などで活躍してくれましたね。
ーー秋田監督が指導者として大切にしていることはどういったことでしょうか?
「他人の痛みや苦しさ辛さを感じることができる人であれ」、ということでしょうか。人間である以上、強い所も弱い所もあって、良い所も悪い所もあるのだから、それを受け入れてあげる、相手を思いやることが大切じゃないかなと思います。それはサッカーにおいても当てはまると思うんです。例えばチームの味方が蹴ったパスが多少ズレて受けられなかったとしても、「今のは蹴った方が悪い。もっと正確に蹴れ」などと言わずに、懸命に足を伸ばしたり、パスを受けるためになんとかしようとするアクションを見せれば、その気持ちはパスを出した方にも伝わるんですよね。すると「次はもっといいパスを出そう」と思うようになる。機械がやっていることじゃなく、人と人がやっていることですからね。そういう思いやりは伝わるんですよ。先につながるんです。