福岡大学・乾真寛監督(右から3人目)とスタッフ(写真提供=福岡大学サッカー部)
2009年には総理大臣杯に優勝、インカレ準優勝という輝かしい成績を収めるなど、九州の強豪として名高い福岡大学サッカー部。2018年のインカレでは、その年の総理大臣杯の覇者・明治大学に1-0で勝利、2021年のインカレでは、同じくその年の総理大臣杯の覇者・法政大学を1-0で下すなど、関東大学サッカーリーグ1部の名門にも負けない実力を備えている。チームを率いるのは、ユニバーシアード3連覇、全日本大学選抜の監督など数々の実績を誇る乾真寛監督。福岡大学が目指しているサッカーやチーム構成などについての話をうかがった。
ーー福岡大学が目指しているサッカー、スタイルはどういったものでしょうか?
今のトレンドとしてはインテンシティの高いサッカーが求められていると思います。フォワードにも前線から強い強度の守備力、切り替えが求められます。これは例えばプロになったから急に身につくものではなくて、我々は日常のトレーニングから、インテンシティというところを意識して取り組んでいます。九州は、関東や関西のように身近なところにライバルがいる環境ではないですが、「全国4強基準」を合言葉にしています。「全国制覇」とか「日本一」という目標は、簡単に成し遂げられるものではないと思います。我々は、九州にいながら常にそのレベルを想定しています。それを達成するために、選手たちは自分自身を非常に厳しい環境に追い込んで練習しています。
ウチの練習にはJリーグのスカウトの方たちがたくさん見に来られるんですけれども、練習を見て「これ毎日やってるんですか?」と言われるくらいの強度でやっています。あるいは練習参加の選手を連れてきた高校の監督さんには「ぜひ練習を見て行ってください」とお声掛けするんですけれども、だいたい「凄くインテンシティが高いですね」とおっしゃいますね。
ウチは天皇杯でもJ1、J2、J3と、それぞれのカテゴリーに勝利した経歴もあります。我々は「ただの田舎のチーム」ではありません。自分たちの意識を高めて、関東や関西のレベルを日常から作り出しています。
インカレでいうと、2018年、その年の総理大臣杯で優勝している明治大学さんと2回戦で対戦して勝っています。昨年は、その年の総理大臣杯で優勝している法政大学さんと2回戦で対戦して勝利しています。ここ数年でも2回こういったことを起こしている。つまり福岡大学というのは「チャンピオンを倒す力を持っていますよ」ということの証明かと。
今までにも、関東大学サッカーリーグ1部優勝チームや総理大臣杯の優勝チームを何度も倒している。なぜそれができるのかというと、そこにいる選手たちの良さを出させていないからです。単純に、明治大学さんや法政大学さんと力比べをしたら負けますが、そういった力のあるチームの力を出させないためには、やはりディフェンスが重要ですし、あるいは勝負どころで決め切る力が必要です。そういう意味でも、福岡大学は関東1部などの強豪チームの力をフルで出させないような、コンパクトでアグレッシブな戦い方ができるチームだと思っています。
サッカーには芸術的な要素、上手い要素は当然必要だと思いますが、上手い選手を11人並べようとは思っていなくて、体の大きい選手、速い選手、強い選手など、選手それぞれの特徴を磨き、組み合わせてチームにしていきます。それが上手く噛み合った時にはトップの力を持つチームにも負けない自信があります。九州の大学に行ったから関東の強豪大学には敵わないのかというとそんなことはないんです。それはインカレなどの大きな大会での実績や、J1からJ3まで35人が在籍しているということなど、プロに行った卒業生たちの成績、経歴においても証明されていると思っています。