新潟医療福祉大学・佐熊裕和監督と中村俊輔選手(写真提供=新潟医療福祉大学サッカー部)
北信越大学サッカーリーグ1部に所属する新潟医療福祉大学サッカー部。2005年創部の新鋭チームながらも近年、Jリーガーを多数輩出するなど北信越地域の強豪としても注目を集めている。チームを率いるのは創部間もない桐光学園を強豪校へと押し上げた実績を誇る佐熊裕和監督。今回はそんな佐熊監督に、今までで印象に残っている選手や新潟医療福祉大学サッカー部のセールスポイントなどについて話をうかがった。
ーー指導者としてターニングポイントとなったゲームなどはありますでしょうか?
ターニングポイントになったかどうかはわからないのですが、勉強になったなというのは選手権決勝の市立船橋戦でしょうか。当時市立船橋の監督だった布啓一郎さんは、大学時代、私が1年生の時の4年生で、夏前の練習試合では3-0とか4-0とかでウチが市立船橋に勝っていたんです。ところがいざ蓋を開けたらああいう状況(桐光学園は1-2で敗戦)で勝てなかった。ただやっぱりそこで負けても結果にこだわらないで、俗に言う“いいサッカー”ができれば負けてもいいよ、という指導だったのが、あの試合も含めて、四十代くらいになってきてからは勝負と育成の両立はできるんだなと気付かされましたね。
ライセンスを取得したから、素晴らしい指導ができる訳ではありません。しかしある程度自己流で行っていた指導を、自分の中で整理をしたくて取得することに決めました。その結果、B級からA級、そしてS級と指導者としての幅が広まってきた実感を持つ事ができたのは自分として大きいと感じています。
ーー今まで指導した中で印象に残っている選手などはいますでしょうか?
やっぱり(中村)俊輔ですね。他にもU-21日本代表のGKコーチをやっている浜野征哉などもいましたけれども、俊輔は常に“上手くなりたい”という気持ちを持ち続けていました。多分今でも持っていると思いますが、3年間ずっと“真剣に上手くなりたい”という気持ちを全面に出してやっていましたね。簡単なようですが、そういう選手は、後にも先にもいなかったですね。
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