甲南大学 柳川雅樹監督(写真提供=甲南大学サッカー部)

 2019年に監督に就任し、1年で甲南大学を関西1部リーグに昇格させた柳川雅樹監督。柳川監督は現役時代、ヴィッセル神戸でキャリアをスタートさせ複数のクラブを渡り歩くと、2015年からはフィリピンでもプレー。甲南大学で監督としてのキャリアをスタートさせた柳川監督にお話を伺った。

ーー現役時代に数々の監督の元でプレーしてきたと思うんですが、ご自身が監督をやるにあたって参考にしている、または影響を受けた監督はいますか?

 僕は良いとこどりをしているので、"この監督!"っていうのはないんですけど、振り返ってみて挙げるとしたら、木山隆之さん、松田浩さん、スチュワート・バクスターさんの3人ですかね。3人ともに凄いなと思わせるようなところがあり盗んでいる感じです。戦術的な所や選手への接し方だったり、監督としての振る舞いだったり、それぞれ指導者として活かせる事があったので、そこを盗みながらも自分自身の指導スタイルを貫いてやっています。

 あとはヴァンフォーレ甲府というクラブが持っていたサッカースタイルですね。あれは大木武さんの影響が大きいと思うんですけど。僕自身は大木さんの指導を直接受けていないながらも甲府の中に大木さんのサッカースタイルが文化として残っていて新しいエッセンスを自分の中に加えられたと感じました。

ーー現在チームで取り組んでいる事っていうのはありますか?

 学校の強化サイクルが4年周期で回っているみたいで、2022年から新しい周期に入りサッカー部が特別強化指定団体に選出され、クラブとしては4年以内に関西学生リーグで優勝する事と、インカレ・総理大臣杯でベスト4に入る事を目標にしました。この目標を本気で実現する為にと考えた時に、組織としての基準というか、あり方というものを再構築する必要があると思い、色んなところに着手し始めたという状況です。競技面に限らず組織全体のレベルを2つ3つ上げていこうというフェーズですね。

【第1回】甲南大学 柳川雅樹監督#1「サッカーは楽しいものだし、楽しんでやらないと何事も成果は出ない」
【第2回】甲南大学 柳川雅樹監督#2「広い視点で考えられるようになって欲しい」

ーーでは、これからさらに結果も残していかないといけないという事ですね?

 そうですね、結果を残していかなければいけない状況なんですけど、結果を追い求める前に考え方の部分を変えていかないと厳しいだろうと思うので、そこに対してのアプローチをこの1月2月で試行錯誤しながらやっています。感覚的には関西で優勝することは十分に可能だと思っています。一昨年は半期で3位になっていますし、そんなに上位チームに圧倒されるっていう試合もないので、選手のマインドを変えて好循環を生み出す事が出来れば、僕の中では行けると思っています。

 例えば、甲南に来る選手たちが上位のチームに入っていたら普通に優勝を経験していると思うんです。でも2部リーグから上がってきたような甲南大学に入ったから、選手たちは「残留争いしないといけない」と思ってしまうんだと思うんです。組織自体に蔓延った考え方を払拭できないからそうなっているだけであって、選手たちの考え方、チームに関わる全ての人の考え方を「俺たちは上に行くぞ!本気で優勝するぞ!」というようなメンタリティにできれば自然と上がっていくと思うので、そこのマインド作りをずっとやってきているんですが、もっと高めていかないといけないなと思っています。

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