第43回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント対新潟医療福祉大戦(写真提供=福岡大学サッカー部)
卒業生で言うと、例えば永井謙佑(FC東京)などは代表にも呼ばれた選手ですが、10回ボールを受けたら9回はミスしていたような選手です。でも30メートル前にボールが入ったら誰にも負けない。「お前はそれでいいんだ」と。それで今は上手くなっていますから。なので「18歳までですべてが決まる」なんていうことはなく、技術も体も4年間でグンと成長する。4年間一芸を磨いていくと凄いレベルまで到達するんです。
つまり、福岡大学はそういう「何か尖っている一芸」を持った可能性を感じる選手をスカウトしてきていることです。「一芸に秀でている」という選手は、ぜひウチに来てください。高校までの経歴ですべてが決まるなんてことはまったくないんです。
育成に関して言えば、全国大会での4強を基準とした強度、Jリーグに行ける選手を育てる強度、環境でやっています。ウチの選手は“スペトレ”と呼んでいる筋トレなどはメニューも選手個人によって別々です。レベルの高い選手には高い要求をするのでハードルも高くします。そういうことをするから飛び抜けた選手が出てくるんです。「個の良さを引き出して磨く」というところはウチの良さ、特徴だと思います。
またフィジカルのデータにしても、Jリーグに行った選手たちの過去のデータもGKやDF、MF、FWなどのポジション別、その中でも前寄り、後ろ寄り、センター系、サイド系などタイプ別などに細かく分けたものをすべて蓄積し、活用しています。具体的には「◯○に行ったあの選手は、大学○年生の時の数値はこんなだった」ということなどがすべてわかるんです。「自分の目標とすべき選手はどのタイプで、そのデータはこれ」という形で目標を定め、それに向かって努力するということ。それが受け継がれているんです。
今はコロナ禍なので海外に行けないのですが、福岡からは船に乗れば3時間弱で釜山(=韓国)に行けるんです。韓国には姉妹校がたくさんあり、Kリーグの蔚山現代ともつながりがあります。プロチームとも練習させてもらっています。その他でも今はコロナ禍で中断していますが、1月にスペインの「セグンダB」という3部相当のチームに約1ヶ月、4人ほど武者修行に行かせ、「世界」の同世代を経験させるということもやっていました。そこに行った選手たちは9割程度の確率でJリーグに行っています。ちなみにカンプノウで生のバルセロナの試合を観戦するのも恒例として行っていました。
「世界」を知ることで高い意識を持たせることは、「地方大学」というネガティブな意識を払拭させ、選手の成長、育成にもつながると考えています。
次回は福岡大学が目指しているサッカーなどについての話を紹介する。