桐蔭横浜大学サッカー部グラウンド(写真=風間久志)

ーー安武監督が指導者を目指すきっかけというのは何だったんでしょうか?

 ユースからトップチームとプロ契約することができたんですけど、2年でプロ選手としての自分の実力を知りました。今のようにJ2やJ3のカテゴリーがあれば、そこでプロとしてやっていくという道もあったのかも知れませんが、当時はJ1しかなかったので、その中でプロとして続けていくというのはなかなか厳しかったですね。それで選手としての再チャレンジとセカンドキャリアの両方の可能性が残る、大学に行った方がいいかなと思っていたんです。そんな時に、サンフレッチェ広島でも活躍されて、私自身も憧れていた日本サッカー界のレジェンドである風間八宏さんが桐蔭横浜大学サッカー部の初代監督になることを知り、迷うことなく(桐蔭横浜大学に)入学することに決めました。とにかく「風間さんの下でサッカーを学びたい」という気持ちが強かったんですね。

ーー関係者や知り合いに桐蔭横浜大学を勧められたわけではなかったんですか?

 縁もゆかりも無かったです(笑)。とにかく風間さんに指導してもらえればなんとかなるかなと。当時は監督が風間さん、コーチが現在桐蔭横浜大学総監督の八城(修)でした。部員も10数人しかいなくて、同好会のようなチームだった所から、上を目指して本格的に活動し始めた頃でした。元々は神奈川県リーグの2部で最下位とかのレベルだったんですけど、「風間さんと一緒に上のレベルに行こう、強くなろう」という皆の意気込みを感じましたね。そういうチームで風間さんから「サッカーとは何か」ということを学びました。大学卒業後は、一時サッカーを離れた時期もありましたが、桐蔭横浜大学にまたお世話になり、コーチを経て、2018年に監督に就任したという流れですね。

ーー桐蔭横浜大学には長く携わっているということになりますね。

 そうですね。本当にチームの成長をずっと間近で見てきているのでおもしろいですよ。2019年は関東大学サッカーリーグ戦1部で2位でしたし、全日本大学サッカー選手権大会も準優勝でした。今年のリーグ戦1部では残念ながら5位でしたが、本当に優勝を狙えるレベルまで到達できたと感じています。ひと昔前の桐蔭横浜大学サッカー部を知っている人からしたら、現状なんて「ウソだろ?」って思う人も多いと思いますね(笑)。

中編では「新型コロナ感染拡大という今までとは異なる状況化で、チームはどのように活動し、シーズンをどう戦ってきたのか…を伺う。

(取材=風間久志)