得点を決めたFW小柏剛(写真提供=明治大学サッカー部)
2019年の史上初となる学生タイトル全五冠制覇をはじめ、2019年、2020年の関東大学サッカーリーグ1部連覇など、数多くの大会で輝かしい成績をおさめている明治大学サッカー部。少数精鋭ながらも屈指の強さを誇る部のセールスポイントなどについて、栗田監督に話をうかがった。
ーーご自身が設立されたパルピターレサッカースクールと明治大学での指導で、何か重なる点などはありますか?
「自分で考える」ということの大切さでしょうか。自分で判断したり自立できる子は伸びると思いますね。いろいろな場面で「誰かに頼ってしまう子」っているんですよね。例えば小学生の子とかも困った時に、すぐに親に頼ってしまう。親もすぐに手を差し伸べてしまう。もちろん困っている時は助けてあげないといけないとは思いますが、すべての場面でそうとは限りません。「この子は、今この壁を乗り越えれば成長するのにな」という、苦しいけれど乗り越えることができればいちばん伸びるところで助けてしまうと、自立の妨げになることもあるんですね。
ピッチには周りに味方がいますが、基本的には自分の判断が重要です。自分で解決しないといけない、誰も助けてくれないことも多いんですね。大学を卒業して社会に出てからはなおさらで、多くの困難と遭遇しますよね。でもそこで親には頼れないじゃないですか。子どもの頃って、大人には理解できないような考えや行動をしますよね。そこに親が深く入りすぎるのも良くないと思うんです。子どもはいろいろな事を経験して、乗り越えて成長する。その繰り返しの中で、考える力や経験値が上がっていくものなので。もちろん小学生、中学生と大学生では、負荷のかかりかたや状況は違いますが、自分で考え、判断することは重要だと思います。ピッチの上で「自分から」という意志の強い子、目標に向かって「これでもか」ってくらい向かっていく子、つねに自分の100%、120%の力の出し方を理解している子は伸びると思いますね。
ーー明治大学サッカー部の監督をされていながら、いち会社員でもあり、パルピターレFCの代表でもあるというと、もう想像を絶するようなハードな毎日かと思うのですが、そこまでできるモチベーションはどういったことなのでしょうか?
まず「サッカーが好きだ」という大前提があります。サッカーと一生懸命に向き合っていると、選手も成長したり、ひとつのコミュニティが生まれたり、そこを中心としてネットワークが生まれたり、お子さんの親御さんたちもよろこんでくれたりと、そこにいろいろドラマがあるじゃないですか。そういうのって自分にも刺激になりますし、学生たちからも学ぶものもたくさんあるんです。そして学生たちを成長させるためには私自身がいろいろなことを学ばないといけませんから、自分の成長にもつながるんですね。そういった一連のことが、きっとおもしろいんでしょうね。そこだと思います。