練習を見つめる佐熊裕和監督(写真提供=新潟医療福祉大学サッカー部)
――新潟医療福祉大学サッカー部のセールスポイントを教えていただけますでしょうか?
1つはアルビレックス新潟と提携しているという点ですね。グラウンドも人工芝が3面あって、天然芝があるところも使わせてもらったり、トレーニングマッチなどもアルビレックス新潟とやらせてもらったり、クラブハウスも含め、環境面は非常に優れていると思います。関東の大学でも昼間が授業の為、朝練や夕方過ぎからの練習になる大学も多くありますが、本大学の場合、午前中を中心に授業をまとめてもらっていて、午後3時から人工芝3面を使って全員で練習を実施する事が可能です。また週末にリーグ戦や天皇杯など、天然芝のグランドで公式戦がある場合などは、天然芝グランドでの練習も可能になります。この様に大学側の理解と施設側との協力で素晴らしい練習環境が出来上がっていると思います。
あとは、A、B、Cのカテゴリーで桐光学園サッカー部の卒業生で教え子や大学OBなどを中心として監督、コーチ、GKコーチ、トレーナーを含めたスタッフ陣や学生トレーナー・主務・マネージャー組織が充実しているところも強みだと思っています。地方でしかできないクラブ作りというものができるのかなと思っています。
強くなってきているという背景は、シンプルに“上手くなりたい”という選手を育てているという部分だと思います。上下関係もそこまで厳しくないですし、4年生と1年生が紅白戦をやれば、1年生の方が図々しくガチガチやるような環境が整ってきたところで強くなってきたのかなとは思います。1年生で試合に出ていたからといって2年生になっても試合に出られると思っているのは大間違いで、しっかり練習しなければ試合には出られません。選手間の競争も激しくなってきて、そういうサボれない雰囲気もできてきましたし、これは地方大学なので、覚悟を決めてきている選手が多いというのも理由の1つかもしれません。こちら側も高いレベルを要求しますし、彼らも追いついてきたいと必死な気持ちを持っています。その結果、今年の天皇杯1回戦でJ3のチームに勝ち、2回戦で鹿島アントラーズと戦う事ができました。結果的には1対2で負けてしまいましたが、素晴らしい経験が出来たと感謝しています。またこの経験を今後の人生に役立てて欲しいと思っています。
ただ全員が全員プロになれるわけではないですし、サッカーだけをやっているわけではないので、卒業後をどうするかなども考えながらやっています。基本的には授業優先でその後クラブ活動があるとの考えは昔から変わっていません。プロを目標に4年間頑張ってきたが、卒業後は指導者を目指す選手もいますし、公務員を目指す選手もいます。選択肢を広げてあげる事は指導者として非常に重要だと感じています。選手達は、ピッチ内のことだけでなくピッチ外の部分を、みんなでしっかり考えながらやっているということが特徴というかセールスポイントなのかなと思っています。また、歴史のある大学でもないので、良いことはどんどん取り入れていきますし、良くないと思えばすぐやめることができるフットワークの軽さも、ウチの特徴なのかなと思っています。
――サッカーが上手くなりたいと思っている中高生へのアドバイスをお願いします
2つありまして、1つは“上手くなりたい”という気持ちを継続して持ち続けること。それは簡単なようで本当に難しいことだと思うのですが、ずっと持ち続けて欲しいということと、もう1つは“楽しむ”ということ。おそらくサッカーをやり始めたきっかけは楽しかったからだと思うんです。その楽しかったという気持ちを忘れないでやってほしいなと思います。
中学生の頃などは、本当に1か月あれば全然変わることができるので、“上手くなりたい”という気持ちと“楽しむ”気持ちを持ってやっていくと、もっともっと伸びていくと思います。