福富信也氏

 サッカー界ではサッカーが上手い下手といった序列があるけど、高校サッカーでは良いチームは応援も熱い。普段から人間的な結びつきの中でサッカーをしているから、絆も強い。(サッカー以外の)色んな物差しで互いを評価しながら、人として尊敬できる点を互いに持ちながらやっているから絆が強い。
 あいつのミスをカバーしてやりたい、あいつが出してくれたパスを苦しいけど絶対拾ってシュートにつなげたい、っていう感情で身体が突き動かされたり。ピッチの人間もベンチの人間も一体になれる魅力がある。そういった(高校サッカーの)部分は野外教育にも似ていて。

 不便なアウトドア生活を快適にするため、互いに知恵を振り絞って色んなアイディアを出したりね。
例えば、「俺、兄弟いるから普段料理作ったりしてるんだよね。だから今回料理作るよ」っていう奴が出て来たり。「え、お前料理出来るの?」とか、自分が持ってないアイディアを他の人が出してくれたりっていうシーンが必ずある。その中で尊敬できる点があったりすると互いの仲が深まる。野外教育は、サッカーに必要な要素がたくさん詰まっていると気付いたのが、先ず一つ目。

ーー2つ目とは。

 2つ目は、海外に1年間行っていた時に、日本で20年以上生活していた中で感じていた違和感に気付けたことだね。
 日本では意見の食い違いを人格否定に繋げる、そんな風潮があるよね。それがそのままプライベートの人間関係にも響く。そういう必要のない配慮の為に、深い人間関係が築きづらい事に気が付いた。

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