福富信也氏
1980年3月生まれ。
横浜F・マリノスコーチを経て、2011年に東京電機大学理工学部に教員として着任しサッカー部を監督として指導。
日本サッカー協会公認指導者S級ライセンスで講師を務め、近年では上田西高校の選手権ベスト4進出(2018)や、ヴィッセル神戸天皇杯優勝(2020)など、幅広い対象へのチームビルディング指導を行う福富信也氏にお話を伺った。
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ーーまだ記憶に新しい、上田西高校の長野県勢初ベスト4進出。携わった経緯を教えてください。
監督の白尾秀人からは、知人の紹介で依頼をもらいました。
最初に行ったヒアリングで言ったのが、頭で理解するのが先か、身体で体感することが先か選んで欲しいと。迷わず身体を使ってやってくださいと言われた。白尾も選手の特徴を凄い分かっている監督で、身体を使って染みこませる方が選手に合っていると話てくれた。だからあまり沢山の事を話し聞かせるというよりも、殆どピッチで、体感ベースで取り組んだね。勿論、伝え方にはこだわりやタイミングもあるから、サッカーやピッチで伝えることが有効な場合とそうでない場合もある。
例えば、サッカーによる序列がはっきりしてしまってる時は、サッカー以外の事で序列を崩すことの方が大事だったりするから。そうすると、「うわ、あいつ中々良いアイディア持ってるな」とか、「今後もサッカーの時あいつのアイディア聞いてみた方が良いかもな」とか、「あいつ面白い発想してるな」っていうのが生まれたりする。そういう後にまたサッカーをすると効果的だったりする。序列が出来上がってる中で、またサッカーをしても委縮している選手はそのままになっちゃうから。
ーー結果的に、上田西高校はどう変わったと思いますか?
彼らの選手権での戦いを振り返ると、京都橘に1-0で僅差で勝った試合、帝京大可児に5-0で大勝した試合、明秀日立に打ち合いの末3-2で勝った試合、最後は準決勝で前橋育英相手に大敗した試合と、本当に様々な戦いを経験していく中で強さを増した。駒沢公園に試合を観に行った時に、スタンドでメンバー外の選手達が試合の後、勝ったのに感動して泣いていて、「マジで福富さんのおかげです!今があるのは、あの時のおかげです!」って言うわけよ。自分が出れないからどうでも良いやっていう集団ではなく、チームだった。心からそう言ってくれてるなっていうのが凄く伝わって、強いチームになってるなと感じて嬉しかったよ。
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