都立立川のFW砂塚康輔は鋭い抜け出しを何度も見せた(写真=多田哲平)

 10番の井上がベンチに下がった後半も明星学園は、都立立川の反撃を受けながらもリズムを掴む。44分には縦パスに抜け出したMF8神野倭(3年)の決定機を作り出す。神野は一度ポストに弾かれながらも、そのこぼれ球を自ら押し込んで追加点を奪ってみせた。

 50分にはカウンターから砂塚に決められて1点を返されたものの、53分にペナルティエリアに飛び出した佐藤がGKをかわして冷静に左足で流し込んで6点目。

 その後は一進一退の攻防が続いたが、6-1のまま明星学園が勝利。3年ぶりに2次予選初戦突破を果たした。3回戦では東京朝鮮中高級学校と対戦する。

 明星学園の細井卓磨監督は「初戦なので怖かったですね。何が起こるか分からないのが選手権なので。でも、選手たちがよく頑張ってやってくれた」とは喜びを口にする。

 また細井監督にとって特別な一戦だったことも明かす。

 「私が明星学園に赴任したばかりの時に部員が2人しかいなくて、当時川人(健太郎)先生が率いていた都立砂川高校と、合同チームを組んでいたんです。一緒に合宿をしたり、色々と教わったりしてきた。川人先生とは同い年でもありますし、いろんなことを学んできた。そういう意味でも、感慨深い試合でした。まさかこの都大会で戦えるとは思っていなかったし、とても嬉しかったです」

 一方、川人監督が率いた都立立川もこの日、少なからず見せ場を作った。最前線の砂塚が鋭く相手ディフェンスラインの背後を突き続けて攻撃を牽引すれば、MF10濱野郁馬(3年)は巧みなテクニックを披露。また両ウイングのDF11佐藤千真(2年)とDF5中村武尊(3年)のクロスも相手の脅威となっていた。点差が開いても、最後まで「声を出そう」と闘志を燃やし続けたDF13反町克明(3年)やボランチのMF18山口旺佑(3年)の働きも印象的だった。

(文・写真=多田哲平)

▽第101回全国高校サッカー選手権東京予選
第101回全国高校サッカー選手権東京予選