ため息が出るほど国士館は強かった。寄せの速さ。球際の強さ。これら攻撃的守備を担保とした縦に速いカウンターが国士館の特長。

国士舘 vs 東海大菅生(写真=佐藤亮太)

 それを示すシーンがあった。前半19分頃、東海大菅生のコーナーキックが途切れるとボールは一気に前線のスペースへ。これを右サイドMF10原田がドリブルを仕掛け、クロスをあげるとゴール中央FW22ワフダーン康音(2年)がシュート。これはバー直撃。ここまでわずか10数秒。攻撃は途切れず、こぼれ球を再び拾ったMF10原田がふたたびゴール前にクロス。これをFW21手塚令恩(3年)がシュートするもブロックされ、コーナーキックに。これが前半21分、2点目を生むキッカケとなった。

 相手にクリアされても拾いまくって、味方につないで、二次、三次、四次と攻撃を仕掛ける、これが国士館の強さ。東海大菅生はほぼ何もさせなかった。

 強さの源泉は4-4-2の両サイドのドリブラーにあった。2得点のMF10原田は右サイドから何度も進入。本人は得意ではないと話したが良質なクロスを供給した。一方、1得点決めた左サイドMF4濵田は重心の低いドリブルから執拗かつ力強く攻めたてた。異様なまでのスピードと決断力。さらにテクニックを兼ね備えた両サイドアタッカーはチームの生命線だ。

 カウンター、セットプレー、PK。5点完勝と喜びたいところだが、あくまで目標は無失点。2失点の理由は終盤、次々と交代選手が入ったため、連係で多少混乱したこと。また投入された選手が結果を求めるあまりか、前のめりになってしまったと考えられるが、やはり立て続けの失点はいただけなかった。

 試合後、名伯楽で知られる国士館・本田裕一郎テクニカルアドバイザーは「2点も取られたんだぞ、2点も」「戦えないでどうする」と選手に強く問いかけたことが印象に残る。この反省を準々決勝にどう生かしていくか。

(文・写真=佐藤亮太)

▽第101回全国高校サッカー選手権東京予選
第101回全国高校サッカー選手権東京予選