武蔵のDF上手雄生は豪快なFK弾を決めたうえに守備でも奮闘(写真=多田哲平)
延長戦に入っても、ことごとくチャンスを防がれトータル100分の戦いでは決着がつかず。勝負の行方はPK戦に委ねられた。
しかし関東一は勝負強かった。武蔵が1人失敗したのに対し、先行の関東一は淡々と5人全員が決めてトータル5-3で勝利。初戦突破が決まった瞬間、関東一の選手たちは喜びを爆発させるかと思いきや、緊張から解放されたように安堵の表情を見せていたのが印象的だった。
「非常に価値のある勝利。選手たちからすると本当に気が気じゃなかったと思いますが、この経験が後々になって活きてくれば」。小野監督はそう言って兜の緒を締めた。
苦しみながらも次戦への切符を掴んだ関東一は、準々決勝で大森学園と対戦する。
一方の武蔵は敗れはしたものの、前年度代表校を土俵際まで追い込んだその戦いぶりは、ひと言で「ファンタスティック」だった。上手の豪快なFK弾はもちろん素晴らしかったが、再三のビッグセーブを見せた丸山をはじめ、素早いカバーリングとシュートブロックを続けた上手とDF4平賀惟吹(2年)、しぶとく相手アタッカーに食らいついたDF3古野健一(3年)とDF19山下晃正(3年)の両SBの守備陣は激賞に値する。
それだけでなく、攻撃の姿勢も最後まで忘れなかったのも見事だった。MF10大島千虎(2年)とMF11高橋史也(2年)の両サイドハーフはボールを持てば積極的に仕掛け、またFW9寺口諒一(3年)は前線を走り回って関東一の守備陣を幾度となくヒヤリとさせた。
(文・写真=多田哲平)
▽第101回全国高校サッカー選手権東京予選
第101回全国高校サッカー選手権東京予選