明星学園は迫力のある攻撃を見せつけた(写真=佐藤亮太)

 スコアだけ見れば、東京朝高の一方的な展開と思われるかもしれないが、実際に試合の主導権を握っていたのは明星学園だった。

 「歴史を変えてこい!!」

 試合直前、細井卓磨監督にそう後押しされ、選手たちは相手のお株を奪うフィジカルとパワフルさを全面に押し出した。特に前半は完全に制圧。コンパクトな守備、高い球際の強度とボール奪取力、相手のマークの判断を迷わせるポジショニングで翻弄。距離感の良さが手伝って相手のカウンターの芽をことごとく潰した。

 良い守備は良い攻撃を生むもの。10番の井上のほか、FW11佐藤空流夢(3年)、MF14金沢秀(2年)、MF9村松晴登(2年)が次々に仕掛け、迫力のある攻撃を見せつけた。

 もっとも決定機が多かったかといえば、必ずしもそうではなかった。

 東京朝高の執拗な守備もあるが、単騎でのドリブルが多く、クロスをあげても味方が足らず、二次、三次攻撃が少ない印象は拭えなかった。あとひとりペナルティエリア内に味方がいたら、決定機は増え、得点の好機はさらに増したはずだ。

 それでも相手を確かに押し込み、チャンスの機会では圧倒した戦いぶりは称えらえるものだった。

 少ないチャンスで3得点を挙げた東京朝高の得点力もさることながら、約70分間、主導権を握り続けた明星学園の印象が強く残るゲームだった。

(文・写真=佐藤亮太)

▽第101回全国高校サッカー選手権東京予選
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