――チームづくりにU-18リーグの体系を生かしているのですね。

 シーズン中はリーグ戦に参加する3チームに分けています。昨年はプレミア、県リーグ1部、同2部に出場しました。今年はセカンドチームが初めて北信越プリンスリーグに参加します。セカンド、サードチームにもコーチを置き、それぞれが交代で1時間半ずつコートを使って必要な練習をやります。セカンド、サードチームの指導は基本的にコーチに任せていますが、プレミアと重ならない限り試合を見て選手を入れ替える時の参考にしています。
 リーグ戦があることで、すべての選手に目標ができ、やりがいや責任が生まれるのは良い点だと思います。トップチームに入れずインターハイ後に辞めてしまう生徒もいたのですが、それをなくしたいと思ってやってきました。「最後まで全員で成し遂げる」という雰囲気が出てきたと感じます。今回の優勝もスタンドから応援した3年生を含め全員で勝ち取ったものです。今では最後まで活動して一般受験で大学に進学していく生徒もいます。

――選手の自主性を重んじる指導を心掛けておられるそうですね。

 ミスが起こった時に、「なぜ」と問い掛けて選手に自己分析をさせます。答えが間違っていたら、さらに考えさせます。ミスの原因が分かったのなら、それを防ぐためにどんなトレーニングが必要かを考えなければいけません。そうして、仲間に協力してもらって改善するための自主トレを始める。グラウンドのあちこちでそんな姿が見られるようになるとしめたものです。

――「考えて行動する」という自主性は身につけさせるのが難しいのではないですか。

 「サッカーをもっと好きになってほしい」という考えで指導にあたっています。サッカーは楽しいものです。誰かに言われるのではなく、自分で考えてやるともっと楽しい。そのためには、繰り返し言ってあげる我慢強さが指導者には必要だと思います。高校サッカーで燃え尽きてしまう選手が多いのは問題です。サッカーの楽しさを知り、大学でも社会人でも、草サッカーでもよいからプレーを続けてくれる生徒が増えてほしいと願っています。

(取材・文:赤壁逸朗)

 大塚監督の「サッカーをもっと好きになってほしい」という思いが「最後まで全員で成し遂げる」というチームの雰囲気を生み出し、強いチームを作り上げたんですね。
 後編は、チーム運営の具体的な方法や、選手達の自主性を尊重した指導法などを伺います。お楽しみに。