三菱養和SCユース 庄内文博監督

 高体連のチームやJユースとも異なり、いわゆる“街クラブ”というチームがある。巣鴨や調布と東京を拠点に置く「三菱養和サッカークラブユース」がそれだ。街クラブといっても、現在はプリンスリーグ関東に所属し、今までに数多くのプロを輩出している強豪チームだ。しかもそれほどの強さを誇りながらも、“サッカーを楽しむ”ことを貫くスタンスも持ち合わせている。今回はそんな個性あふれるチームを率いる庄内文博監督に、指導者として大切にしていることや、三菱養和SCユースが目指しているサッカーについてなど、さまざまな話をうかがった。

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ーー庄内監督が指導者として大切にしていることを教えていただけますでしょうか?

 養和会の目的の中に「豊かな人間性を涵養(かんよう)する」というものがあるんです。この涵養とは、「水が自然にしみこむように、無理のないように少しづつゆっくりと養い育てること」ということ意味なんです。ですので三菱養和の指導者はスクール生である幼児から小学生、そして中学生から高校生へと、純粋にサッカーを楽しんでもらいながら、心身ともに少しずつ育てているという感覚を大切にしています。

 家族や学校、仲間との関わりなど日常生活での悩みや、試合などで色々なミスがあったとしても、そこにいる養和スタッフ全員で、その年齢、その年代、その子の成長過程の中で大切なことを少しずつ話をしながら、仲間と共に逞しく育って欲しいと思っています。

 私自身は現在、高校生の年代を担当しているので、一番の目標である「自立した選手の育成」として最終段階の選手たちに必要なことを伝えながら、日々指導に当たっているという感じですね。

ーー庄内監督が指導者として尊敬されている方はいらっしゃいますか? 

 本当にたくさんの方から色々なことを教えていただきました。森田先生にはサッカーの基本を厳しく指導していただき魅力に引き込まれていきました。三菱養和の先輩指導者からもサッカーに関わることを幅広く学びました。また、ジェフユナイテッド市原・千葉では、とても魅力的な指導者の方と巡り会えたことも大きかったですし。

 その中でも齊藤和夫さんと一緒にユースの指導現場を経験できたことは「選手とどう関わっていくのか」ということにおいてすごく大きかったと思います。以前の高校サッカーというと「あれをやれ」「なんでできないんだ」というような指導者と選手の関係、悪く言うと“上から目線”というようなこともあった時代に、齊藤さんは選手と対等というか、フラットな関係で選手たちと接していたんです。そんな姿を間近に見ながら、齊藤さんの指導で実際に特徴のある個性的な選手が育っていることを実感していましたし、所属する選手全員が楽しそうに前向きにサッカーに取り組んでいました。そういう指導者としてのスタンスを齊藤さんから学んだことは大きかったですね。

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