相生学院 ジェリー・ペイトン監督

 元アイルランド代表、そしてプレミアリーグを中心に活躍し、アーセナルでは名将アーセン・ベンゲル監督の下、GKコーチとして多くの選手を育てたジェリー・ペイトン。ジュビロ磐田やヴィッセル神戸などJリーグでも指導者としての経験がある彼が、この度相生学院の指揮を執ることになった。そんな“超一流の男”に、日本の高体連チームの監督になった理由や、指導した中で印象に残っている選手などについて話をうかがった。

ーーまず相生学院の監督に就任した理由を教えてください

 なんといっても出逢いですね。トシ(上船利徳=相生学院総監督)とゼム(ゼムノビッチ・ズドラブゴ=カマタマーレ讃岐監督)に淡路島の旅行中に出逢い、寮や練習場に招かれて、後日2日間の練習参加をしました。相生学院で指導者の話があった時に、施設も抜群で選手も素晴らしく、とても名誉な話だと思いました。私のプロキャリアやアーセナルなどでの経験を、将来性のある若い選手たちに還元するべきだと考えています。

ーープロのJ1チームで監督やコーチを経験された方が高校(高体連)チームの監督に就任するのは大変珍しいことですが、そのことについてはどう思われますか?

 もっとも才能のあるコーチが15歳からの育成に携わるべきだと思います。アーセナルでコーチをしていた時は、アーセン・ベンゲル監督から「世界に通用する選手を育てるように」と言われました。現在世界で活躍するポーランド代表のヴォイチェフ・シュチェスニー(ユヴェントス)や最近コパアメリカで優勝し、ゴールデングローブ賞を受賞したアルゼンチン代表のエミリアーノ・マルティネス(アストン・ヴィラ)などは私が16歳から育てた選手です。

ーーご自身が高校年代の時はどんなプレイヤーだったのでしょうか?

 プレミアリーグのアストン・ヴィラの下部組織でプロの練習を学びながら、トップチームや代表でプレーすることを夢見ていました。

ーージュビロ磐田やヴィッセル神戸、清水エスパルスでコーチに就任したきっかけを教えてください

 ジュビロ磐田では初めてのプロコーチとしての仕事で、選手の才能を最大限に引き出す事を学びました。ウェストハムで選手を引退してすぐのことでしたが、選手からコーチに切り替わる時期に沢山の事を学ぶことができました。ヴィッセル神戸では、日本で選手を指導する機会を頂きました。1995年、大地震に神戸が襲われ大変な時期でしたが、2年目にJ1昇格を勝ち取りました。神戸がサッカーで少しでも元気になってもらえるように頑張りました。

 そして、アーセナルでの15年やフラムでの経験、スウェーデンのAIKでダブル優勝などを経て日本へ戻って来ました。清水エスパルスでは、これらの経験を活かし、いちばん良い仕事ができたと思っています。

ーー今まで指導した選手の中で印象に残っている選手はいますでしょうか?

 先ほどもお話ししたヴォイチェフ・シュチェスニーやエミリアーノ・マルティネスなどは素晴らしい選手でした。それと、相生学院の選手では先日17歳でJリーグデビューを果たした福井悠人と、MFの日高光揮はとても印象的です。才能あふれる選手だと思います。

 次回は日本の“部活動”について感じることや、日本におけるGKの環境などについての話を紹介する。