神戸弘陵 谷純一監督(写真=森田将義)
1990年代には6回の選手権出場を果たしたのが、兵庫県の神戸弘陵学園高校だ。一時は、地区大会を勝ち抜けないほど低迷したが、2006年に谷純一監督が就任してからは成績が再び上昇。2013年に13年ぶりの選手権出場を果たすと、2016年からはプレミアリーグにも2年間在籍した。近年はFW江坂任(柏レイソル)やDF田平起也(セレッソ大阪)といったJリーガーも輩出する注目校の育成方針について尋ねた。
――チームが求める選手は、どういった選手ですか?
技術の高い選手はもちろんですが、人の気持ちを考えられる選手に入部して欲しいです。例えば、公式戦終了後、次の試合の副審や運営を、メンバー外の選手やコーチが行います。選手達の中には、自チームの試合や応援で終わったと感じる者もいます。チームがまとまりをもって、高みを目指すためには、そうした役割の重要性が大切であることを全員が知る必要があります。「見えない所まで目が届く感覚は凄く大事だよ」と常日頃から選手には伝えています。サッカーも同様に、味方がどうして欲しいのか、相手が何を考えているのか、を感じるアンテナが高い選手は、判断力も優れています。アンテナの低い選手は、トレーニングでも集合するまで無駄な時間を過ごしてしまうことがあります。考える選手ならトレーニングでも、自分に必要な準備やチームに必要な準備ができます。このように、個人・チームが効率良く向上できる活動方法を見付ける習慣が身につけば、試合でも味方や相手が何を考えているかの推測力がアップし、プレーも上手くいくでしょう。こうした感覚は社会に出てからも役立つと思うので、サッカーを通じて伝えたいです。