松商学園サッカー部(写真提供=松商学園サッカー部)

 長野県・松商学園。全国制覇の経験がある野球部は、先日の全国高等学校選手権大会では史上初の、大正、昭和、平成、令和の4元号で勝利を飾ったことで話題になったが、平成元年のインターハイ初出場以来インターハイ、選手権を合わせ長野県随一、30回もの全国大会出場を果たしているサッカー部も強豪として知られている。さらに平成29年4月にはJ2の松本山雅FCとユース年代の選手育成に関する連携協定を締結したことを発表。チームの強化・育成にも拍車がかかっている同校の高山剛治監督に話をうかがった。

ーーまずは高山監督のご経歴を簡単に教えていただけますでしょうか?

 高校は松商学園で、卒業後は順天堂大学に進学しました。大学卒業後に松商学園でコーチとして選手の指導にあたり、その後監督に就任しました。

ーー高山監督が指導者を目指したきっかけなどを教えていただけますでしょうか?

 小さな頃から生活の中心がサッカーだったので、昔からずっとサッカーに携わっていたいと思っていました。その流れで、大学卒業前にはもう自然と指導者を志すようになりました。

ーー指導者として尊敬されている方はいらっしゃいますか?

 いちばんは前監督の大出裕之さんですね。自分自身も高校の時は大出監督に育てていただいたので、やはり大出監督は本当に尊敬している方です。サッカーに対する姿勢はもちろんのこと一番は人としてこうあるべきということ指導者とはこうあるべきということを教わりました。過去の高校サッカーで苦労をされてきた指導者の言葉には多くのヒントが隠されていると思っています。技術、戦術よりももっと大切な何かを教えてくれる大きな存在です。

 立正大淞南の南健司監督も尊敬している指導者のひとりですね。南監督とよくお話をさせていただくようになったきっかけは、立正大淞南とウチ(松商学園)が同じタイミングで選手権に出場したことがあったからです。私が立正大淞南に興味があると知った南監督が話しかけてくれました。選手権前の事前合宿でも一緒になり、トーナメントの山(組み合わせ)が近くて、いろいろと話しをさせていただく機会が多くなっていって。そこから定期的に連絡を取るようになりました。何かを尋ねると本当になんでも教えてくれるので本当に感謝しています。

 南監督とお話をさせていただく中で、自分では気づかないようなことや大切にしているなどをご指導いただいたり、刺激をもらったりしています。本当に様々な観点から高校サッカーの指導をしておられる方で、工夫ということがどれだけ深いことかを気づかされました。

 また、南監督から指導を受けている立正大淞南の選手たちも、とても躍動感があるんです。パッと見は南監督って怖そうな印象があるんですけれども(笑)、実際は選手たちとしっかりコミュニケーションを取られていて、試合を見ていてもそれが伝わってくるんですよね。選手が指導者のことを信頼して指導者も選手のことを信頼している素晴らしい見本のチームです。立正大淞南のスタッフの方々の選手、スタッフを常にリスペクトし続ける人間性からも多くを学ばせていただいてます。いつか全国大会で対戦させていただきたいと思っています。

松商学園・高山剛治監督(写真提供=松商学園サッカー部)

 大学の先輩でもある帝京の日比威監督にも凄くお世話になっています。日比さんは「兄貴」みたいな感じでして、まだ常総学院でコーチをされていた頃からよくしていただいて、帝京高校に移られてからは練習試合なども「いいよ、やるよ!」って感じですぐ組んでいただいたり。全国レベルの強豪でもある帝京さんと試合をすることは自分たちのチームの強さも測ることができますし、とても感謝しています。サッカーに関しても隠すことなく多くを教えていただける、本当に尊敬している方ですね。帝京高校も選手と指導者の絆が強く、目標にしているチームです。強豪の復活を託されて多くの苦労をされていると思います。そんな話も沢山聞かせていただき、高校サッカーとはこうあるべきだということを教わっています。

 あとは、同じ歳の指導者には多くの刺激をもらっているとともにリスペクトさせてもらっています。流経大柏の榎本監督、高橋コーチや、静岡学園の斉藤コーチ、順天堂大学の同期も各県の県選抜の監督、Jリーグでの活躍、レフェリーなど活躍しており、同世代の活躍や指導方法などからは沢山勉強させていただいてます。いつか同世代が集まって大会などもできたらと思っています。

ーー高山監督が指導者として大切にしていることはどんなことでしょうか?

 いちばんは選手が「躍動」しているかどうかということです。つまらない顔をしてただただやらされているようなサッカーをするのではなく、選手たち自らが好きで、自ら動き、考え、率先してサッカーをやる環境は大切にしなければいけないと思っています。

 もちろん厳しい練習も大切だとは思いますし、厳しい練習をやらせることはありますけれど、その根底には、いやいやサッカーをやるよりも、「勝ちたい」「強くなりたい」ということを選手たちが自分で思いながらサッカーをやるのが大切だという考え方があります。

 次回はチームの構成や目指しているサッカーなどについて紹介する。