澤井匡生監督(写真=森田将義)
勉強と部活の両立を目指す県でも上位の進学校で、サッカー部は2016年からはインターハイと選手権に3年連続で出場。近年の奈良県をリードする存在と言えるのが、一条高校だ。昨年は、チームの礎を築いた前田久氏が総監督となり、OBでA級ライセンスを保持する澤井匡生監督がコーチから監督に昇格。新たな時代への一歩を踏み出した注目校のスタイルや育成方針について、澤井監督に聞いた。
ーー6月から段階的にチーム活動を再開されました。
選手と一緒にサッカーできるのはやっぱり楽しいですね。グラウンドに出ても誰もいない状況が長く続いていたので、指導者としての存在意義を感じられず、選手あっての指導者だと改めて実感する機会になりました。選手は大事な時間を失ったので、今後は更に指導者として1日1日の練習を大事にしようという想いが強くなりました。中断期間中にweb会議システムを使って練習をするチームもありましたが、一条は学校の課題も多かったので、トレーナーの指示をLINEグループに投稿したくらいでした。前田久総監督と共に時々、「グラウンドに返ってきた際に、それぞれが万全の準備をして欲しい」の声掛けをしましたが、基本的には各自に委ねるくらい。選手はプレーするからこそ、課題や”もっと上手くなりたい”という気持ちが生まれると考えていたからです。僕としては、サッカーをやりたい気持ちを貯め込み、再開した時に爆発させて欲しいと考えていました。再開してからは、前向きに頑張ろうと意欲を見せてくれていますし、しんどいけど楽しんでくれています。
ーー今後は選手権に向けてチーム作りが本格化していきます。チームとして目指すスタイルを教えてください
前田総監督の時代から、掲げる「巧みに守り、果敢に攻めよ」というスローガンは今も変わりません。ただ、昨年僕が監督に就任してからはスローガンをより深く考えて欲しかったので選手にアンケートを書いてもらいました。みんながやりたいサッカーや、一条らしいサッカーに漠然と取り組みのではなく、集約して目指すサッカーを摺り寄せていこうと考えたのです。今年のチームに関しては、「昨年は全国大会に出られなかったけど、今年はどんな想いで挑む?」と投げかけ、選手同士の話し合いの中で「隙なき一条、最後の一歩まで」という二つ目のスローガンもできました。選手権予選の決勝もプリンスリーグ参入戦も試合終盤の隙によって、勝利を逃してきたため、このようなスローガンになったのだと思います。