山梨学院高等学校・長谷川大監督

 初出場初優勝という快挙を成し遂げた第88回大会、不利の下馬評を覆し優勝した第99回と、2度の選手権制覇を誇る山梨学院高等学校。記念すべき100回大会にも山梨県代表として出場を果たした。そんな強豪チームを率いる長谷川大監督を取材。山梨学院が目指しているサッカーや山梨学院サッカー部のセールスポイントなどについて話をうかがった。

ーー山梨学院が目指しているサッカーとはどういったところでしょうか?

 目指しているサッカーは「トランジションコントロールサッカー」です。攻守のつながり合いや相手のベクトル、強みなどをトランジションの中で相手の機を見ながら引き出していく。アップテンポのサッカーというのが自分の狙いです。そこを突き詰めていきたいと思っています。

ーー選手のスカウティングやセレクションの際は、どういった点を重要視していますか?

 今年に関して言えば、私自身は中学生のスカウティングというのはしていなくて、担当の者がやってくれているんですけれども、個人的には特徴のある選手というのが大事かなと思っています。自分の中で、3年後、4年後、もっといえば大学に進んだ時も含めて、「この子はこういう風に成っていくんだ」というような青写真をどれだけ描けるかというのが、自分が選手をセレクトするポイントの1つです。

 上手い下手はあまり関係が無く、「将来こういう成長をしていくだろうな」と自分自身で確信が持てる選手を探したいなと思っています。自分はその選手の将来性をのぞくことには自信があります。

ーー今までで記憶に残っている試合などはありますでしょうか?

 3つありまして。1つは神奈川大学の監督をしていた時の試合で、神奈川代表として天皇杯に出場させていただいた時のゲームです。J1のジュビロ磐田と試合をさせてもらって結果は0-2で敗れたんですけれども、自分たちが主導権を握ることができ、トランジションコントロールも非常に上手くいって。自分の中では、負けたけれどもベストゲームと言えるほど内容のある試合でした。当時ジュビロを率いていた名波監督からも讃えられたことは、私の宝物です。

 もう1つも神奈川大学の時の試合で、関東大学サッカーリーグ1部への昇格決定戦。東洋大学戦だったんですけれども、引き分け以上で昇格が決まるという状況。後半のロスタイムにCKから失点してしまい昇格を逃したゲームです。相手が最後のCKを蹴る前に、一悶着あったんです。こんな悪夢があるのかという忘れ得ぬ試合。あの試合は自分の中では未だにすごく心に残り、監督として準備力が足らなかったということが非常に沁みたんです。選手たちへの申し訳ないという気持ちが、今の自分の心の指針となっています。

 最後は第99回大会の選手権決勝、青森山田戦ですね。「自分たちが青森山田を追い詰める」というイメージを持って臨んで、前半は思い描いたような展開を創り出して、後半は相手にやられながらも自分たちの信じている生命力が宿った試合でした。強い青森山田さんを、自分たちの土俵の中でしっかりとコントロールすることができたから勝てたわけで、PK戦でしたけれども、それも含めて自分たちの思いが通じた、やってきたことが実った試合だったかなと思います。

ーー山梨学院サッカー部のセールスポイントはどういったところでしょうか?

 本当に一生懸命、ひたむきに攻撃にも守備にもトライすることができますし、高校生らしい粘り強さや激しさ、そして爽やかさなどを併せ持ったスタイルでサッカーをすることができるのが特徴だと思っています。

 一生懸命に試合を頑張るだけではなくて、ピッチ外のところでも「真の日本一を目指す」ということをテーマに活動をしていますので、そういう部分でも日本一になれるような振る舞いをさせていきたいですし、「山梨学院はサッカー以外の部分もしっかりしているよな」と言っていただけるようなチームにしたい、なってほしいなと思っています。