細田学園・上田健爾監督
激戦区・埼玉県の中で近年大きな勢いを持っているのが細田学園だ。本格強化からわずか5年ながら一昨年、昨年と選手権予選で連続してベスト8入りを果たすなど、すっかり強豪校の仲間入りを果たし存在感を高めている。チームを率いる上田健爾監督に話を訊いた。
ーー上田監督の経歴を教えてください
千葉県の松戸市で育って、そこから市立船橋高校に行き、高校卒業後、京都教育大学の方に進みました。京都教育大学に在学中に選手をしながら、大学2年生の時に地元のジュニアユースの指導者を始めて、そこの繋がりで京都橘高校に大学卒業後に非常勤講師として入り、京都橘高校で7年間指導をして、2015年に細田学園の方に赴任しました。2016年から正規の教員になり、サッカー部もそれと同時に強化指定になったので強化5年目になります。
ーー赴任された当初の細田学園サッカー部というのは
私が来たときは20名くらいの部員でやっていました。すごくその子たちが指導に飢えていて、やる気を持ってすごく一生懸命やってくれた。その時はナイターもなく、グラウンドもラグビー部と半面で、私の原付のライトで照らしながらやっていました。
ーーそこからわずか5年で激戦区・埼玉の中でも強豪校の仲間入りを果たしました。手ごたえのようなものもあるのでは
まだないです(笑)手ごたえというと難しいですけど、3年目(2018年)に選手権予選でベスト16に入ったんですけど、我々もそのレベルと戦えるんだとなと。まだまだですけど、工夫していけばそこを戦えるんだなというのも選手がわかってくれたというところはあるんじゃないかなと思います。そこからベスト8にも連続で入れるようになりました。
ーースカウティングについて
選手の発掘であったり、募集というのも大事な要素だと思います。基本的には私が多くいきます。もちろん情報を得るのにスタッフも行きますけど、やっぱり最終的に選んでいくのは私なので、責任をもって選べるようにというところでは、できる限り見に行きたいとは思っています。
ーーそういった際にどういうところを見ているか、求める選手像は?
状況判断ができる選手は大切だなという一面と、あとは個性を持っている選手です。それがサッカー面としては大事だなと思うところで見ています。もう一点重要視している点としては戦える選手。一生懸命だったり、声を出せる選手だったり、勝負できる選手というのも大事な要素だなというのは、ここ最近また気づかされている部分かなと思っています。
ーー指導で心掛けていることを教えてください
いまのスカウトの面とも被る部分があると思いますけど、サッカー面の部分と、人間性、メンタリティという部分があって、その両方を育てていかなければいけないと考えています。やはり、人間的な成長なくしては技術的な進歩はないというふうには思うので、一生懸命やるとか、チームのためにやるとか、向上心を持ってやるとか、ひたむきにやるとかというところは常に働きかけている部分でもあります。サッカー面でいうとやはり状況判断をしていく、ゲームを読むというのを大事にして、技術的にやりたい。少しメンタリティの部分と関わるところかもしれないですけど、アグレッシブにやりたいというところはあります。
ーー細田学園というと下で繋いで見ている人が楽しいサッカーというイメージがあります
結果そういう下でというイメージがついたのかもしれないですけど、パスサッカーという大きなテーマはないですし、スタイルみたいなものは僕としてはあまり好きではなくて、やっぱりゲームを読むというところ。別にロングボールも時には必要もあると思うし、守備もしなければいけない。もっとも大事にしているものとしてはやっぱりゲームを読むこと、状況判断をすること、その繰り返しをしていく中でそういうサッカーになっていったのかなというふうには思います。
その状況判断したうえで自分が何ができるかという個性を育てていきたいと思っています。そこにたどり着くのにドリブルを使っても良いし、パスを使ってもいいと思うし、そこを別に強制しないようにしています。そこは個人の持っている武器を大事にしてあげたいと思っていて、そういう考えを持ってうちのスタッフと一緒にやらせてもらっています。
ーー昨年は2年連続の選手権予選8強入りを果たした中で再び準々決勝が壁となりました
一言で言うとまだできあがっていなかったなというところはありますけど、その中で感じたのは個の力というのはもっとフォーカスして育てていかなければいけないなと。グループを作るところにフォーカスが向いていた課題はあったので、プラスして個の力にフォーカスしていく時間というのを増やしていきたいなというのは去年の反省ではありました。
ーー今年のチームについて
去年までは齊藤真というストライカーがいたので、この1枚の勢いで勢いづいたところがありますけど、より組織力を高めようとしている代ではあると思うので、金子弘輝を中心に良い繋がりを持ちながら全員で戦う準備をしている代なんじゃないかなと思います。その中でも金子とジャハンプール・ラミーンの2トップの爆発に期待しています。
ーー目標を教えてください
全国のトップに立ちたいというのは掲げてやっているので、チームとしてはそこを目指していきたいと思っています。個人としてはやはりその先で活躍する選手という面では、大学なのかもしれないし、プロに行くのかもしれないですけど、そこで通用していく選手というところはなっていってほしいなというふうには思っています。
(取材=石黒登)