東海大高輪台・川島純一監督

 2009年、2016年にインターハイ出場経験を誇る東海大高輪台サッカー部。現在では多くの大会で上位進出するなど東京屈指の強豪校へと進化を遂げている。そんな気鋭校を率いる川島純一監督に、生徒をサッカーを指導する上で大切にしていること、目指しているサッカーなどについての話をうかがった。

ーー川島先生が生徒たちにサッカーを教える上で大切にしていることは何かありますでしょうか?

 サッカーのことだけでなく、「高校生」ということを考えた時に「いま」という時間を大事にしたいと思っています。高校生活というのは「3年間」と時間は限られていますし、いまを大切にするような指導を常に心がけているんです。よく「いま我慢すれば将来絶対役に立つから」とか言うじゃないですか?「いま理解できなくても、後になって理解できればいい」とか。でもそういったことに若干疑問を感じていまして。

 もちろん「後から理解できる、将来役に立つ」ということは大事だなとは理解しているんですけれども、そこで我慢するよりも、いまを楽しくというか、充実した時間にしてあげたいなと思っているんです。そういう考え方で、サッカーも指導していますね。苦しいこととかキツいこととかたくさんあると思うんですけれども、それは将来のためというよりも、「いまの自分のためにどうプラスにできるか」ということを考えて指導しています。

ーーチームの部員数や構成(カテゴリー分け)などは現在どのような形なのでしょうか?

 トータルだいたい180人くらいで、チームは毎年8チームくらいに分けています。各チームでリーグ戦に向けてレギュラー争いをしていて、一人ひとり選手としての成長を指導しながら各チームで活動しています。その結果、関東大会とかインターハイとか選手権がつながって、そこから選抜をして、上のチームを中心にセカンドチームから何人かメンバーに入ったりとか、という形でやっています。

 ただやっぱり高校生と言うとインターハイや選手権なので、そこではチーム一丸となって向かっていけるように、日々、各スタッフの間で工夫はしていますね。

主軸として期待される東海大高輪台の長身DF加藤佑太郎

ーー東海大高輪台が目指している、掲げているサッカーのスタイルとはどういったものでしょうか?

 選手にはよく言っているんですけれども「何でもできるサッカー」ですね。自分たちの形も大切ですし相手もいることなんですけれども、その中で試合に勝つ、良いプレーをするとなったときに、「ショートパスもするしドリブルもする、ロングパスも狙う」という何でもできるサッカーを理想としています。 ただそれは、相手チームをスカウティングした上で「こういうチームだからこんな戦術でいこう」という相手ありきなものではなく、選手たちが自主的に「いまの時間帯はロングボールでいこうぜ」といった形で、自分たちのベースがあったうえで色々と選択していけるようなサッカーをしたいなと思っていますね。

ーーチームに求める選手というのはどういった選手でしょうか?

 これは絶対に外せないことなんですけれども、とにかく人に関われる選手。プレーももちろんそうなんですけれども会話なども含めてですね。うまくいかなかったりすると自分の殻に閉じこもってしまったりする選手は沢山いるんですけれども、サッカーはそういうスポーツではないので、とにかくどんどん人と関われる、自分が入ることによって他の人が2倍も3倍も良くなるとか人の弱い部分を助けてあげるとか。練習でもどんどん自分から関わってくることを要求しています。人を動かすのもそうですし、人のために動いてあげて声をかけるのもそうですし、とにかく「人と関わる」ということを重視しています。