桐生第一・田野豪一監督
2005年のインターハイ初出場から10数年で群馬県の強豪校へと昇り詰めた桐生第一。現在参戦中の高円宮杯 JFA U−18サッカープリンスリーグ2021関東では暫定ながら4位に付け(7月31日現在)、プレミアリーグ参入を視野に入れている。そんなチームについて、セールスポイントや今シーズンの目標などについて、田野豪一監督に話をうかがった。
ーー練習や普段の生活で、監督自身、また選手たちはコロナ前とコロナ後で変わったことなどはありますでしょうか?
まず時間軸が変わりました。以前はもう詰め込んで「やってやってやって」という感じだったんですけれども、「そんなにやらなくてもいいんだな」ということを実感しまして。部員が増えたことも関係があるんですけれど、以前は2時間半だった練習時間も、今は1時間半に変えました。それが大きな変化ですね。
昨年度は9月からリーグ戦が始まるというイレギュラーなシーズンだったんですけれども、ちょっと休みを多く取り入れることにしました。自分の中で褒められる部分があって、それは昨シーズンはケガ人がゼロだったということなんです。ケガ人が少ないということは、それだけ試合に出られるチャンスも多いということで、それは選手にとって非常に良いことだなと。そのことによって、今の3年生もずっと試合に出場できましたし。練習時間のコントロールや休養日、ピリオダイゼーションを変えたことですね。
それと、これはコロナとは直接関係ないんですけれども、夏の群馬といったら37℃、38℃が当たり前じゃないですか。そんな中で長時間サッカーやるのは厳しいですよね。過去において、練習をやりすぎて体重が減った子がゾロゾロ出ちゃったんです。それなので、夏休み期間中は基本的に10日間は休もうということにしました。そうしたことで体重は減らなくなりましたし、いい形で秋を迎えられるようになりました。トレーニング内容の精査とコンディションにフォーカスを当てることを重視して我々は取り組んでいます。
ーー桐生第一サッカー部のセールスポイントはどういったところでしょうか?
まずフィロソフィーとして「チームはひとつ」ということを掲げています。みんなでいろいろなことをやっていこうと。さらに、ウチの中村裕幸トップコーチが提唱してくれたんですけれども、規律、競争などいろいろな面において“日本一の集団になろうよ”ということをスローガンにしています。チームの和、組織力は大きなセールスポイントだと思います。
それとプロになった選手の評判などもメディアの方からは「技術だけでなく人間的にもいい子が多いですよ」という声をいただくことが多く、そういうことを聞くとうれしくなりますね。
ーー鈴木武蔵選手だったり、最近では若月大和(FCシオンに期限付き移籍)だったりプロになる選手も多くなっていますが、何か指導方法で変えた点などはありますでしょうか?
とくに変えたということはないんです。ウチのサッカーが掲げる「ボールをつなぐスタイル」としては、「中盤の選手」が育ちやすい気がするんですけど、不思議なことにプロになる選手はFWの子が多いんです。これはよくコーチとも「何でだろう?」って話をしてるんですけど。結論としては、フィニッシュのところでFWにいろいろな要求をしてるんじゃないかなと。我々は好きだから組み立てまでやるんですけど、後はほったらかしなワケでは決してないんですけれども、クサビもできて背後も取れてと、要求が多いからFWがそれを身に付けて伸びているのかなと。
あとはグラウンドの影響もある気がしています。ウチのグラウンドは縦が90mなので、足の速さが活きにくいという面があって、それでスピードだけに頼らず、何かと工夫ができたのかも知れません。ただ、今後はどのポジションでもプロ入りする選手を出していこうと話しをしていますけれど。
ーー今シーズンの具体的な目標などはありますでしょうか?
プレミアリーグ昇格と選手権出場ですね。プリンス関東では暫定的に現在4位なんですけど、ちょっと試合数が多くて。以前も選手権前までは上位にいたことがあったんですけど、選手権予選で負けてしまって。そこからはモチベーションがガタッと落ちて5戦して1勝しかできないことがあったんです。なので選手権予選で群馬を制してモチベーションを維持したままプリンス関東を戦い、3位以内に入り参入戦を勝ってプレミアに昇格すること。この2つを大きな目標にして戦っていきたいと思っています。