相生学院 ジェリー・ペイトン監督と上船利徳相生学院総監督

 イングランドのプレミアリーグ、そして元アイルランド代表として活躍し、アーセン・ベンゲル監督の下、アーセナルではGKコーチとして多くの選手を育てたジェリー・ペイトン。ジュビロ磐田やヴィッセル神戸などJリーグでも指導者としての経験がある彼が、相生学院の指揮を執るというビッグニュースが届いた。国を背負い、トップリーグで戦ったという、そんな“世界の一流を知る男”に、日本の“部活動”について感じることや、日本におけるGKの環境などについて話をうかがった。

ーー日本の高校の部活動で感じることなどありますでしょうか?

 毎日強度の高過ぎる練習をしてしまうのはやや問題があるかと思います。15歳~18歳は身体造りが大切です。テクニックや戦術の理解や試合展開の読みなどはしっかりと教える事が大事ですが、身体は19~20歳、もう少し先まで仕上がりません。しっかりした身体の基礎を造る事が大切で、身体とサッカーのバランスを良く保つことが大切です。

ーーイングランドやアイルランドなどと日本のユース年代(高校年代)の環境の大きな違いはどんなところでしょうか?

 個人的には同じだと思います。特に違いを感じることはありません。

ーーイングランドの名GKピーター・シルトンや長きに渡りイタリア代表の正GKを務めたジャンルイジ・ブッフォンなど世界的GKは40歳を過ぎても活躍されていますが、やはりGKは経験が重要なポジションなのでしょうか?

 試合展開を読むことは経験値で学びが深まりますが、ドイツ代表のマヌエル・ノイアー(バイエルン・ミュンヘン)やスロベニア代表のヤン・オブラク(アトレティコ・マドリード)、スペイン代表のダビド・デ・へア(マンチェスター・ユナイテッド)、アルゼンチン代表のエミリアーノ・マルティネス(アストン・ヴィラ)らを例に見てもらうと、GKの身体能力の高さの必要性、アウトフィールドの選手より高いものが要求されます。現代サッカーの試合展開はとても早いですから。

ーー最近ではGKもセービングだけではなく、足元の技術、キック力、ビルドアップ能力、フィードの精度などが求められるようになって来ています。とてもタフなポジションなのではと思いますがいかがお考えでしょうか?

 試合展開を素早く先読みし、同時に素早く次の動きを決める。ショットが蹴り入れられる瞬間に筋肉が反応して、爆発的なパワーでトップコーナーに飛びセーブする。重要な転機に重要なセーブをする。ボールの飛距離とスピードを的確に判断してクロスを取る。チーム全体に落ち着きをもたらす冷静沈着さ。非常に精度の高いパスを、短くあるいは長いパスどちらが有効か判断して出す。シーズンを通して、高いレベルでパフォーマンスを一定に保つ。基本的にはチームが試合に負けないようにセーブを繰り出して、トロフィーを勝ち取る。GKはそういうポジションです。

ーー日本ではなかなかGKから世界で活躍できるような選手が育ってこない現状がありますが、どんなことが理由だと思われますか?

 世界に通用するGKを日本が育てられない理由はありません。上記の素晴らしい抜き出た身体能力を持つ選手がゴールキーパーになりたいと思わないのかもしれませんね。

 次回は相生学院からJリーガーが誕生したことや、今シーズンの目標などについての話を紹介する。