日大習志野高等学校サッカー部飯田諒監督(写真=佐藤亮太)

 千葉県内屈指の進学校と知られる日大習志野高等学校サッカー部を率いる飯田諒監督(40歳)。現役時代、現在のザスパクサツ群馬、AC長野パルセイロでのプレーを経て、引退後は神奈川県の強豪校、日大藤沢高校サッカー部でコーチを務めたのち、2012年に日大習志野高校に赴任。コーチを経て、監督就任7年目を迎える飯田監督は、いまの生徒たちはどう映るのか。そして伸びる選手の共通点とは。

【フォトギャラリー】日大習志野高等学校サッカー部

―――今の日大習志野の生徒たちをどのようにご覧になっていますか。

 単純な比較はできませんが、日大藤沢高校のときはサッカーに賭けている生徒が多くいましたが日大習志野の生徒は真面目な生徒が多く、理解力が高いです。その反面、間違えると怖い、答えがわからなくなると動き出せないというところは感じます。サッカーをするうえでちょっとマイナスな部分なので、払しょくさせたいです。監督としてはそうできるように、声掛けを含め、気にしなくていいミスはどんどんやるように伝えています。今の生徒を見ていますと、もっと上を目指せる、もっとやれると感じます、野心というか…賭けるというか、そうした気持ちを出してほしいです。「このくらいでいいかな」というところで満足してしまう時があるのでもったいなと感じてしまいます。

日大習志野高等学校サッカー部飯田諒監督(写真=佐藤亮太)

―――日大習志野は千葉県屈指の進学校。部活と勉強との両立は難しいのではないでしょうか。

 今年は例年より多くの3年生が総体予選後に抜けてしまい、イチからとは言わないまでも、かなりメンバーは替わったので、この夏は新チームに近いくらいの気持ちでトレーニングしてきました。

―――さきほどの練習でも、また試合中も監督はほぼ指示を出さず、見守るというか、観察しているような佇まいが印象的です。

 それは選手経験で自分が感じたもの、指導していただいた指導者から学んできたことが行動にでているのだと思います。まずは選手が一番。選手が主役です。自分が選手のとき、リアクションでいろいろと言われるのは一番嫌でしたし、「うるさいな」としか思ってなかったので。ただ、闘う姿勢が足りないときや自惚れてプレーしているときは厳しいことも言います。今の選手たちには、やるべきタスクは提示しているのでゲームやプレーが始まれば、自分からアクションを起こして、選手同士で声をかけあい、解決してほしいです。そして指導する側として選手が何をしようとしているのかというところに興味があります。観察といえば観察かもしれません。

―――選手に伝える際、なにか気を付けていることはありますか。

 赴任前はいわゆる進学校で勉強ができる生徒と接することはあまりありませんでした。当初は言葉を選んで、話しを少しかっこよく言わなければならないかなと考えたこともありました。しかし1年も経たずに、自然のままというか、高校生は変わらないので、こちらもありのままでいいんだ。自然体でいいんだなと。こちらが構える必要はないなと感じました。だから裏表なく思ったことはそのまま伝えるようにしています。

―――指導するなか伸びる選手の共通項はありますか。

 向上心の高さのある選手ですね。心の底からそう思えば必ず行動にでてくるものです。それをやりつつ、チームでは「BチームからAチームに上がる」「Aチームでレギュラーになる」「スタメンで活躍する」など向上心の高い選手はそのための努力をしています。日大習志野の選手たちや日大藤沢でコーチをしたとき、そして自分が選手だったときも、向上心の高い人間ほど変化は絶対にあります。努力するというより自然と努力しています。それは勉強も同じです。

(文・写真=佐藤亮太)