一条サッカー部練習風景(写真=森田将義)
ーー澤井監督も就任1年目に勝負の難しさを痛感されたのではないでしょうか。
改めてチームを勝たせてきた前田総監督の凄さを感じましたし、僕がこれからより拘っていかなければいけない部分だと感じました。「巧みに守り、果敢に攻めよ」というスタイルに関しては納得いく形で表現できるようになったとは思います。”巧みに守り”の部分である賢く組織的に守ることができ、(プリンスリーグ参入戦の)履正社高校戦では終盤まできちんとブロックを作って戦えました。”果敢に攻めよ”の部分も、みんなで勇気を持って後ろからパスを繋ぎ、厚みのある攻撃ができました。ただ、勝負所になるとセットプレーでやられる試合が多く、僕が詰め切れていなかったと痛感しました。プラン通りに試合を進めても、与えた隙を突かれてしまいました。(選手権予選の決勝)五條高校戦も相手をいかに食い止めるかばかりを考えていて、もうひと詰めすべきでした。
ーーコーチと監督では、また違った大変さもあります。
Bチームや1年生を担当していた今までなら、そのグループを引き上げてAチームに昇格させるのが役割でした。でも、監督になるとAチームだけでなく、BチームやCチーム、1年生チームにまで目を配らなければいけません。OBや保護者など色んな人の想いを背負っている分、見る視野をより広く持たなければいけないと感じた一年でした。同時にコーチと監督では見られ方も違います。コーチ時代からの選手を納得させる材料が必要だと考え、前田総監督時代の良さを残しながらも、自分が目指すスタイルを示そうと考えました。新チームが始まった当初は一切勝てず、選手も付いて行って良いのか疑心暗鬼だったと思います。でも、夏休みに白星が増えてからチーム状態が上向きになりました。結果的に選手権は負けましたが、引退した3年生や保護者から「良かった」、「ありがとう」の言葉を貰えて嬉しかった。同時に、最後に結果を残せなかった責任をより感じました。
ーーインターハイ、選手権共に全国大会に出られなかった経験がチームのプラスに働くのが理想ですね
前田総監督がチームを率いていた2016年からの3年間は、チームがずっと勝っていたため、「県で勝っているから、これくらいで良いだろう」、「県内では勝てるだろう」という甘さを感じる選手が何人かいました。スタメンから外したり、挫折を味わせて「まだまだ足りないよ」とメッセージを送ったりもしましたが、選手のためにもっと早い段階で取り組むべきだったと思います。もちろん成功して上のステージで活躍できるのが選手の成長に必要ですが、順調に行き過ぎると選手が気付けない部分も出てきます。成長するために挫折を感じる瞬間も必要だと思います。今いる選手たちには全国に出られなかった悔しさを今年のチームに活かして欲しいです。また、昨年の3年生には、大学生活に活かして欲しいと考えています。今まで一条の選手は高校の3年間で燃焼する選手が多かったのですが、彼らが次のステージで活躍してくれるのを期待しています。