クラーク記念国際高校 岐阜駅前キャンパスサッカー部・大野聖吾監督 (写真提供=クラーク記念国際高校岐阜駅前キャンパスサッカー部)
ーーチームの(サッカー)スタイルのベースはどういったものでしょうか?
基本的には自分たちが主導権を握って、意図した攻撃・守備がしっかりできるようにしたい。そのためには、個がうまくなるのは当然だけれども、個からペアになって、ペアがグループになってという風に、連動した動きができるようになっていってほしい。1人のピッチ上での判断が、最終的にはチーム全体の動きになることが大事。ボールに一番近い選手の動きによって、一番ボールから遠い選手が、自然とポジションや動きを修正できるようなチームにしたいですね。
(全国大会で準優勝した)岐阜工業では、僕がとある選手の名前を呼ぶだけで、全員が反応して自然と次のポジションに動けていました。名前を呼ぶ前に動き出している選手もいましたけど、そういう選手は「やっぱり俺の動きは間違っていない」と確認してくれれば良いですね(笑)。選手が「やらされている」と思っている限り、こうした動きは無理ですので、クラーク国際の選手たちにも、自分で理解して、自ら動けるようになってほしいと思います。
(大野監督の所属するトラウムトレーニングの)「止める・蹴る・運ぶ」は大前提となる技術です。その技術をしっかり試合で使えることによって初めて自分の武器ができます。アイデア、技術が豊富で、ピッチの上でパアーッと素早く情報処理して、次のプレーを瞬時に選択できる、つまり大容量の情報を処理して結果を出す「5Gサッカー」が理想です(笑)。
ーー将来的な目標についてはどう考えられていますでしょうか?
全国高校サッカー選手権の8強クラスの力を付ければ、決勝まで行く可能性が出てきます。岐阜工業が一番強かった時(全国準優勝時)は、選手全員のサッカーIQが非常に高くなっていました。11人対11人で戦えるようになっていましたし、相手の嫌なことが常にできていました。リスタートひとつ取っても、ポンっとクイックで始めることができましたし、いろんな状況変化に応じて、次のプレーを選択できていました。静岡の名門チームの監督に、「お前のチームはずる賢いなあ。本当に嫌なことをやってくる」と言われた時には、うれしくて仕方がありませんでした。クラーク国際でも、そんなチームを作りたいですね。
ーー大野監督自身の目標を教えていただけますでしょうか?
毎年満足することはないだろうけど、「(私は)何をやっているんだ」という自分ではいたくありません。気持ち的には40歳代に戻るしかないと思いますが、“60歳を過ぎたジジイだから出来ることもある”という経験値の部分も大事にしたい。ただ最終的に次のプレーを判断するのは選手たちでしかありません。選手から判断を奪うのではなく、「その動きでいいの?」「そこで何をやるの?」と声がけすることで、トレーニングの中で正しい判断能力を養っていくような指導を続けていきたいですね。