東海大福岡イレブン

ーー先輩の「GKをやれ!」から始まったのに凄いですよね(笑)。

 本当ですよね(笑)。父は野球が好きだったので「手を使えるのに、何で足だけのスポーツをやってるんだ!」ってよく言われましたし(笑)。

ーー平先生にとって指導者とはなんでしょうか?

 指導者はサッカーは当然、でも人を育てるのが我々の仕事。サッカーだけ教えるのはプロフェッショナル。我々は教員なのでサッカープラス人を育てなきゃいけない。指導者も育てないといけない。選手を大人にするのが指導者で、教員はアマチュア、サッカーだけを教えているのはプロ。そういう違いがあると自分では思っています。

 報酬はアマチュアでも人を育てるのはプロとしてやらないといけない。上手いサッカー選手もいっぱいいるので、メンタリティーが弱い子は上には行けません。そのカテゴリーで代表になっても生き残れるのは何人かしかいないし、技術が上手い子はいっぱいいる中で、最終的にA代表にまで行けないのは何故かと言ったら、勘違いだったりだとか、人間的に足りない事で余計なことをして頭打ちになったりだとか。だから人間的な部分とサッカーの部分の両面を指導していくのが我々の仕事だと思っています。

ーー平先生も色々迷いながらやってきた中で、若い指導者の方にアドバイスなどはありますか?

 サッカーのグラウンドだけじゃなくて、選手と時間を共有する中で挨拶だったり身なりだったり。そういうところまで気を使って指導しないと良い選手にはなれない。学校の中で普段の授業を受ける姿だったり、廊下を歩いてる姿や身だしなみ、そういったところから指導していかないといけない。トータル的に人をつくっていかないといけない。そうやって完成された選手が日の丸を付けれるのかなと思います。

 引退した後もそうだと思うんです。サッカーしかやってこなかった子はセカンドキャリアも厳しい。人が出来ている子は周りも評価してくれるので次の仕事もある。講演も出来るし、チームに残って仕事も出来るし。だから指導者は「早めに人を育てないといけないよ」と伝えたいです。

 そうしないと「上手かったあの子はどうしてる?」って聞いた時に「やっぱりか」という結果になってしまう子はいっぱいいますからね。夢を持たせることも仕事だし、夢を見るために今やらないといけない事を教えるのも我々の仕事だし。だから指導者の仕事はいっぱいありますよね。我々がサボったらいい選手は育たないので、常に100%で経験値を積んで選手の指導に当たっていかないと、かわいそうな選手に育ってしまうので。「名声だけではダメ」と考えています。

 (文=会田健司)