――柳沢監督が指導者として大切にしていること、心掛けていることはどういったところでしょうか?

 選手自身のやる気を起こさせることですね。今ではいろいろなサッカーをするチームがある中で、競争や目の前の相手に負けないとか、戦う姿勢というところは、アントラーズとして欠かせない部分だと思いますので、そういった部分は常に強調しつつ、選手自身のやる気を起こさせる。

試合前の鹿島アントラーズユース練習中風景

 ただ、選手のやる気を起こさせると言っても、選手自身が自主的にやってくれるようになるのがベストだと思いますし、あまりすべてを教え込むというよりは、ヒントを与えて前に進んでいけるような状態を作ってあげるということが、選手を指導するうえで自分自身大切にしていることでもあります。選手に自分で考えさせることによって、思っていたこととは違う方向に進んでしまう場合もありますが、逆にそれはそれで「そういう考え方もあるな」などと気付かされることあります。そこは選手を指導する上での難しさでもありおもしろさでもあるかなと、やりながら感じてます。

 「答え」をそのまま教えるのではなく「ヒント」を与える。自分自身で気付くということが、いちばん成長につながるのかなと私は考えているので、自分自身で考えることの大切さを学んでもらえたらうれしいなと思いながら指導しています。頭の中で分わかっていても、プレーってなかなかできないと思うんです。でも自分自身が気付いて動き始めると、より身になっていくはずなものなんじゃないかなと思うので、あまり型にはめ過ぎずにやっていますね。

 言葉で表現するとは難しそうに思えないかもしれないんですけれど、実際は簡単じゃないんですよね。日々、「どうやったら選手がやる気を持って取り組めるようになるのか」ということを考えながら指導に当たりっているんですけれども、それはこれからも追求してやっていきたいなと思っています。

 次回#2では高校時代の思い出、印象に残っていることなどについての話を紹介する。