――飯塚をドリブルチームと捉える人も多いと思います
皆さんがイメージされるような、どんな状況でもドリブルで相手をかわすチームとは違うかもしれません。ドリブルと単に言っても、大きくボールキープするためのドリブル、スペースでボールを運ぶドライブ、飯塚ではビートと呼んでいる突破のドリブルの3つに分類できます。キープからドライブに変わったり、ドライブからビート、ビートからドライブになったり、プレーの状況によって、種類が変わっていく。ただボールを持つだけではなく、パスやシュートで終わってこそドリブルは成功と言えるのです。シュートやドリブルで終われないのは、ボールを失っているためです。プロや世界でも通用する判断が伴ったドリブルを飯塚で身につけて欲しいと考えています。
――練習では、どのように視る意識を高めているのでしょうか?
全てのトレーニングが、視なければ対応できないメニューになっています。例えば、信号を渡る練習があり、たくさんの車が走っていれば自然と周りを視るようになります。指導者が「道を渡ろう」と声をかけるだけで、「視なさい」とは言わなくても選手は自然と事故しないよう車を視るようになるでしょう。イビチャ・オシムさんが過去に、「練習していれば、勝手に上手くなっていました」と仰っていましたが、トレーニングをきちんとこなせていれば高校3年間で大きく成長できる。視る力が高まると、選手それぞれのストロングポイントが出せるようになります。
――具体的にどんな練習をしているのかを教えてください
シーズンが始まると週末の試合に向けたトレーニングを行うことが多いのですが、今の時期のように新チームが立ち上がってすぐは、チームコンセプトを落とし込むためのトレーニングを重視しています。大事なのは、ピッチを自陣ゴール前、ミドルゾーンの自陣寄り、ミドルゾーンの相手エリア寄り、相手ゴール前の4分割し、それぞれのエリアでの判断基準を身につけること。そのために、試合状況を切り取った3対1、4対2、5対3、6対4、7対4などのボール回しを徹底しています。ボール回しを通じて、サッカーの仕組みが分かれば、試合でも「今は5対3の状況だ」と瞬時に理解でき、正しい判断ができるようになります。