名古屋高等学校(写真=名古屋高等学校)

 2019年度愛知県新人サッカー大会のベスト8に打診をした所、全てのチームが快諾をし、代替大会実施が決定されました。 早速、日程を2020年7月11、12日に固定して、グラウンドの確保を開始しました。当初は愛知県内の大学に依頼をしてグラウンド提供をお願いすれば容易にグラウンドは確保できると考えていましたが、ここにコロナウイルス感染症が影響してきました。大学はすべて8月までオンライン授業を実施していて、大学生すらその施設を使えていない状態で、外部の高校生にグラウンドは貸 せないとの回答をもらうばかりでした。また、愛知県内公共施設のほとんどすべてに打診をしましたが、土日という事もありすべてが埋まっている状態でした。実施が危ぶまれる中、唯一の朗報が飛び込んできました。それが、豊田市運動公園で実施予定の、豊田市立中学3年生のための代替試合の知らせです。ここにお願いをして、共同開催か、グラウンドの間借りができないかを考え ました。こちらの考えを、豊田市立中学3年生代替大会を取りまとめる先生に伝えた所、午後はグ ラウンドが空いているのと、中学生も高校生のプレーが間近で見られるからの理由で快諾をして もらえました。グラウンドが決定し、いよいよ大会が実施できる枠組みができました。サッカーに必要な審判の 確保にも、中学高校の先生方からの支援の声が上がりました。コロナの影響でサッカーの試合が なくなり、審判をする場所を探しているから、是非協力したいと言ってくれました。サッカーファ ミリーの力をまさに感じた瞬間でした。

ーー支援の輪が広がり始める。そして、クラウドファンディング。

 コロナウイルス感染症対策を講じながら大会を安全安心に実施する必要があります。選手は長い期間サッカーや運動から離れていました。身体は思っている以上に鈍ってしまっています。思い出に残る大会で怪我をしては本末転倒です。怪我の対応や、熱中症対策も考えなければなりません。 そんな時に、看護医療の専門学校が協力の声をあげてくれたり、飲料水メーカーが、経口補水液の提供をしてくれたりと支援の輪が広がり始めています。

 大会実施に当たり、選手に大会記念品を渡したり、グラウンドの費用を捻出したりと経費がかか ります。本来、高体連が大会を実施する場合はそこから補助が出たり、学校が大会参加費を出してくれますが、今回はあくまで私的な大会です。その資金を集めるために、世間の皆様からのサポートを受けるクラウドファンディング「CAMPFIRE」を利用することにしました。大人たちの判断でインターハイがなくなりました。その代替試合を実施するのも大人でなければできません。今度は大人たちが、インターハイの無くなった子供たちを支援する順番ではないでしょうか。 大会実施に際し、本当に多くの関係者に支えられていることは子供たちにも伝える必要がありま す。そしてスポーツができる喜びを感じながら誠心誠意プレーすることがその支援への恩返しだ ということも教える必要があります。そんな彼らは今回の支援を忘れず、大人になった時に、また 別の支援ができるようになるでしょう。これは今の大人たちの、未来の大人たちへの投資だと思います。

(取材協力・文=名古屋高等学校サッカー部、⼭⽥武久監督)

▽CopaAichi愛知杯 クラウドファンディング 
CopaAichi愛知杯、クラウドファンディング