丸岡イレブン(写真=森田将義)

ーー2017年と2018年は選手権出場を逃し、指導者として葛藤もあったと思います。

 自分自身が何を足りないか色々と考えましたが、悩んでいても仕方ありません。やれることを頑張ろうと思えるようになりました。それまでは”全国大会に出なければいけない”という気持ちが強く、手っ取り早く勝てるサッカーを徹底していましたが、本当に子どもたちの為になっているのか悩んでいました。そうした私自身の葛藤が勝てなくなった原因かもしれません。でも、2年間出られなかったことで、ある程度のベースを残しながら、子どもたちの良さを最大限に引き出すためにはどうすれば良いか考えるようになりました。

ーーお父さんの清吉氏も丸岡の監督で、伝統の重みを誰よりも知られている分、プレッシャーはあったのではないでしょうか。

 親父は、「俺は好き勝手できた」と言うんです。私自身も丸岡の監督になった当初は好き勝手というか、親父のやり方とは違う自分のやり方で勝てるだろうと思っていました。でも、負けた時に親父も含め、丸岡に携わってきた先生方はサッカーの原理原則を大事にされていたと気付けました。それにプラスして、苦しい時にも堪えて真面目に頑張れる子が多い丸岡地域の土地柄とか、人の良さを加味した上で成り立っているのが丸岡らしさだと私は気付けていなかったのです。そうした部分を意識してから、腑に落ちることがたくさんありました。選手を見る目も変わり、これまでサイズの大きい選手を重視していましたが、小さい子にも小さい子の良さがあるのだと気付きました。そうした気付きを得たのは、インターハイに出場しながらも2年連続で選手権を逃した時期です。「俺はこうなんだ、こうじゃなければダメなんだ」という拘りを捨ててから気持ちが楽になりました。子どもたちの考えをより尊重するようになりました。これからも丸岡の伝統やらしさを大事にし、選手の特徴を引き出しながら、全国で勝てるチームを目指していきます。

(文・写真=森田将義)