――近年は大学サッカーで活躍する選手も増えてきました。
監督になった当初は大学でプレーしたいという選手はごく少数でした。また、インターハイが終わった時点で引退する選手もいました。今は「神戸弘陵でレギュラーをとって、プロになりたい」、「サッカーで〇〇大学に行きたい」としっかりビジョンをもっている選手が増えました。指導者を志す選手が増えたことも、ここ最近の傾向です。Bチームの選手も、常に向上心を持ち続けてくれているので、多くの選手が大学でもサッカーを続けてくれています。「神戸弘陵で3年間頑張れたのだから、大学の4年間も頑張れる」というマインドを持った選手が増えているからではないでしょうか。昨年は、同じ代のGKが4人それぞれの進学先でAチームのスタメンで出ていたのは、嬉しかったです。
――びわこ成蹊スポーツ大学で活躍するMF上月翔聖も、3年生の途中まではスタメンに定着しきれない選手でした。
上月は新人戦に出ていませんし、インターハイも前半で代えた選手です。夏以降、グッと伸びてプレミアリーグでも活躍し、イタリア遠征の18名に選出されました。選手の特徴を、高校3年間で、できるだけ大きく成長するにはどうすれば良いかを考えながら選手たちを観ています。甘い所を誤魔化したまま試合で起用し続けると、大事な所で甘さが出てしまい敗戦に繋がることもあります。試合に出場しながらそうした事に気付ける選手もいれば、下のカテゴリーに降格してから気付く選手もおり、敏感さは選手それぞれです。上月の場合は、インターハイで悔しい想いをしてから目の色が変わりました。以前は試合中に運動量が少なく、味方が懸命に奪ったボールを簡単に失っている場面がありました。味方が懸命に奪ったボールを受け取っているという感覚が希薄だったのではと思います。しかし、最終的にはチームのために自分の技術を発揮できる選手になりました。自らの甘さに気づいた選手が、再び這い上がってきたときの伸び率は凄いものがあります。我々は選手の技術力・判断力・精神力の育成を大事にしていますが、このような選手から成長するために重要なことを気付かされます。大切なことは、子どもたちを本気にさせるコミュニケーションと環境づくりだと思います。
――2月の新人戦を見ていると、今年は楽しみな一年になりそうです。
コロナの影響で県総体・全国総体が、残念ながら中止になりました。兵庫県では7月に代替大会の案があがっています。できれば経験させてあげたいですが、状況によってはできない可能性もあります。もし、開催できない場合は、全国レベルの試合が神戸弘陵の紅白戦になるような環境を我々が創らなければいけません。うちに来る選手は、神戸弘陵のサッカーがしたい、全国で優勝したい、プロになりたいと高い志を持った選手ばかりです。選手達の夢や目標を達成できるたようにスタッフ一同、全力でサポートをしていきます。
(取材・写真=森田将義)