山田智章監督は総体予選を通して選手の成長を実感(写真=多田哲平)

――準決勝で静岡学園とやる前には、すでに手応えがあったと。

 そうですね。初めはあくまで目標でしたけど、いざ静学とやれると決まった時には、もしかしたらという予感はありました。

――その静岡学園戦、そして続く藤枝明誠戦をきっちり無失点で制したのは、まさに成長の証明でした。

 準決勝、決勝は実力以外に運もありましたね。静学戦はバーやポストに助けられましたし、PK戦もクジ引きみたいなもので、運よく当たりを引いただけという感覚。もちろん準々決勝の浜松開誠館との試合でPK戦を経験していたのがプラスに作用した部分はあるかもしれませんけどね。

――山田先生が磐田東で目指しているものはなんでしょう。

 磐田東に入ってくる選手は、いわゆる強豪校と比べると、技術的には劣るかもしれないです。しかし、それでも十分に戦えることを証明したいと常に思っています。

 それを実現させるには、組織力がカギになる。アンダーの代表選手や国体の選抜選手がいるようなチームにいかに勝つかは、すごく考えますね。もちろん個人のスキルアップは不可欠なので、そこを疎かにするわけではなく、その個人のスキルをどう組織に落とし込むか、それがひとつのテーマですね。

――考えのベースにあるのは、監督2年目の成功体験なわけですね。

 そうですね。やればできるし、どうせやるならチャンピオンを目指さなきゃ面白くない。可能性が1パーセントでもあるなら絶対に諦めない。そういう話を選手には常にしています。だから静学と戦って自分たちの立ち位置を測りたいねと言いながらも、ナンバーワンを目指す野心が心の内にはありました。

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