「特長を活かす」環境で選手たちを育てる

 ウチは部員が多いんです。推薦で入ってきた1年生28人を入れて現状でも3学年で200人以上。ここに一般受験で入ってくる1年生が加わります。でも、彼らには全員一定のトレーニング時間を与えています。2013年にできた人工芝のグラウンドはラグビー部と半分ずつシェアしているんですが、サッカー部はそこをさらに半分に分けて平日16時からはB1とB2。17時半からはA1とA2が。サブピッチではB3がトレーニング。その練習を教員4人、外部コーチ、学生コーチやトレーナーで指導しています。

 トレーニングは攻守の切り替えを意識しながらの4対2や5対3のボール回しが中心。その中でタッチ数やパスの高さに制限を加えて速くボールを動かし、相手の逆を突くスキルを繰り返し鍛えていきます。最後にする8対8も「ひざより上にパスが上がったら相手ボール」というルールなどを付けて徹底的にグラウンダーにこだわったりします。

 ドリブルが得意な選手はその制限を加えるとうまくいかなくて天を仰いでたりするんですが、その時は「ワンタッチで出してもう1回受ける」ようなプレーをすれば自分の特性が活きる。そうやって選手たちの距離感がよくなったりすると、ゲームでもゴールへ向かって真っすぐ進めるパターンが出てくるようになるし、サイドでのドリブルからクロスで決めるシーンも出やすくなってくるんです。

 2017年のインターハイ初出場と1勝は、攻撃に特化していた前年の3年生たちを見た下級生たちにリスクマネジメントをしながら攻守の切り替えスピードを重視してやっていったことが結果です。特に2019年からヴァンフォーレ甲府にいる中山 陸はこのインターハイ自体では出来がよくなったんですが、この経験を糧にして切り替えの部分がすごく伸びました。

後編では2名のJリーガー誕生までの逸話。そして今年のチームへの想い、東海大相模サッカー部に対する夢について話してもらう。

(取材=寺下友徳)