―――実際、奈良クラブに入ってみて、高体連とクラブユースという違いもありますし、内野さん自身も先生ではない立場で、サッカーの指導者として選手と接する中で、興國の時とは選手の人数も違いますし、一番感じる違いはどんなところですか?

 やっぱり選手と接している時間が短いし、人数が少ない分把握しやすい部分と、人数が少ないからこそ難しい部分もあります。例えばケガ人とかが出てしまうと、紅白戦が出来なくなっちゃうので、そういう意味では少ないのって大変やなと思いますし、でもユースA.B.Cチームがあって、奈良クラブは比較的人数が多い方なんですが、全員のことがわかるので把握しやすい。少なければ全員を把握できるというところと、高校の場合は学校生活からガッツリ一人一人と向き合えるので、いい意味で日常から管理ができる。でもユースの子たちは学校生活をどう過ごしているのかわからないので、難しい部分もありますよね。

 でも一方で、自分の時間もめちゃくちゃあるので、よりサッカーに対して色んな勉強もできるし、指導に精神的に余裕があります。離れてみて思うのですが、インターハイとか選手権って凄いんですよ。素晴らしいなって思いますよ。特に大阪のJグリーンは人も凄い集まりますし、やっぱり素晴らしいなと思う。でも反面、勝たなければならないストレスが凄かったし、リーグ戦でも学校の名前を高めなければならない。ブランド力を高めていかなければならないというプレッシャーがありました。

 特別に「勝て勝て」と言われていた訳じゃないんですけど、やっぱり勝たなければならない空気感がものすごかったので、それに比べると濱田さんは、勝利より育成とまではいかないけど、育成しながら勝利しようという感じなので、育成の優先順位が高いことが明確。そういう意味では良い選手を育てて、良いサッカーをする。まずはそこだよねと。

 もちろん負けようとは思わないし、常に勝とうとは思っていますけど、公式戦でも勝てない事への恐怖心は全然ないですね。だから色んな選手を試せるようになったし、自分の時間があるので、余裕を持ってトレーニングの準備ができるし、メンバー選びとかもできる。そういう意味では時間的余裕ってものが凄く大事なんだなと思いますね。特に指導者にとっては。

【次のページ】 奈良クラブユース 内野智章監督#1「どこで誰に学ぶねん」奈良クラブユースを選んだ理由は.....。(4)