昌平イレブン

――選手に自由を与えられるようになったキッカケはなんでしょうか?

 決められたことしかできない選手に限界があると感じていたからです。特に2014年に初めて高校サッカー選手権に出場した時は、これをやるぞというのを決めてやっていたけど、上手くいきませんでした。そこも指導方法を考えさせられるキッカケの一つになりました。ただ、ルールは作らないですが、選択肢は与えるようにしています。日頃から、「相手がハイプレスに来たら逃げ場を持ちなさい。即座に対応できないから選択肢として持った方が良い」と選手に言っています。それは選択肢を与える状況は必要だからです。上手くいったからなんでもOK、上手くいかなかったら全部ダメというわけではないので、そこに一つ選択肢を与える、加える、考えさせるのはひとつの要素ですね。もちろん、違うと思えば、選手にこうしなさいということもありますよ。

――ピッチ外も含めて、自分で考えるのは大切ですよね。

 そうですね。一番大切なのは自分と向き合う作業です。判断をする際に、人から話を聞いて解決するやり方もありますし、自分で考える方法もあります。上手くいく時も、そうではない時もありますが、色んなことから学びを得るのが大切だと僕は考えています。理想はどこにあるのかなと思う時もありますが、やっぱり自分で決められるのが一番。ただ、全てにおいて自由に判断をさせるわけではなく、チームとしての位置付けがあってのものです。全体で遵守すべきルールは設けないといけません。そこはキャプテンにリーダーシップを取ってもらえると一番良いですが、一人に任せるだけではなく、全員で取り組むことも必要です。

<後編に続く>

(取材=松尾祐希)