東急SレイエスFC U-18(写真=荒井敬介)

――「挑戦」に踏み込める裏づけとして、やはり着実なクラブとしての歴史は切り離せません。クラブに2005年から携わっている阪本監督から見たクラブの歩み、また今後のビジョンなどを教えてください。

 クラブの歩みですね?長くなりますよ?(笑)。

 私自身、このクラブで指導者としての歩みもスタートさせていただきました。スクールのアシスタントコーチとして働き始めて2週間ほどした時に、声を掛けていただきました。ちょうどシーズンの変わり目の時期で、一人コーチが辞められることによりいただいたお話でした。今、指導者を始めて2週間のコーチにジュニアユースの監督を任せることはなかなか想像できないので、当時と今の間にあるその違いがクラブの歩みを表しているのかなと振り返ります。
 2005年当時は毎日の練習がフットサルコートで行われ、ほとんどの監督がスクールをフル(約4時間)で指導した後に、休まず中学生の指導に入っているような環境でした。ただ選手にもスタッフにも、情熱と野心がみなぎる環境で、フットボールを追求しようとする姿勢に溢れていました。聞くところによると、もちろん2000年の設立当初からそのような空気ではなかったようで、今思うと私はクラブが「変わろう」としているタイミングにちょうど巡り合えたのかもしれません。
 この時の、環境や現状に甘んじることなく少しでも良くなってやろう、何かを勝ち取ってやろうというイズムは、その後も決して絶やすことなくレイエスに関わる人間の根幹として継承されていくことになりました。選手もスタッフも数多くの失敗や衝突を重ね、時にはセレクションの選考会議で口論になったり、涙したり...私が(笑)。次の日の朝に帰ることになったときもありました。見方によってはそんな中で犠牲になってしまった選手もいるかもしれませんが、一歩ずつ目に見える形でクラブは成長していくことになります。

 次回、クラブの歩みを更に掘り下げる。

(取材=編集部)