東急SレイエスFC U-18の阪本洋平監督(写真中央)

 まず、勝ちたいです。ただ、そのために必要なのはロングボールに頼ることでも、ボールを保持して満足する事でもないと持っています。もちろん延長線上にはクラブとして目指す理想のサッカーが無ければいけませんが、基本的にサッカーの特性上、選手たちの特長が最大限に発揮されることを根底にコンセプトを整理しています。
 そしてその中に、私も好きでこの仕事をしていますし、私が誘って入団を決めてくれた選手たちのためにも個人的に考えるエッセンスを散りばめるようにしています。目指したいサッカーを表現するとすれば、俗に言われる「やっていても観ていても面白いサッカー」ですが、人の価値観は様々である中で、「誰がやっても、誰が観ても、面白いサッカー」を目指したいです。自分なりに考えてみるとそれは、「マインドで勝り、変化のあるサッカー」です。
 サッカーは頭の中で瞬間、瞬間の小さな勝負が決まってくると考えています。相手が何を考えているかを察知し、相手の頭の中をコントロールすることが究極です。思考や意識が人の動きを左右すると考えているので、相手が「奪える」「来ない」と思ったタイミングやスペースを察知、または意図的に誘引し攻略するサッカーを目指しています。頭の中が悟られていることに気が付いたり、思いもよらないことが起きたりすると、人は一瞬、動けなくなるか、もしくは下手な動きをしてしまうかのいずれかだと思います。その瞬間を操れるように、認知面やボールコントロールにこだわっています。
 「変化」については様々あると思いますが、戦術的な意味では主に動くものの変化です。つまり、人とボールのリズム、スピード、タイミング、距離、方向、位置などに変化があるプレーをし、目まぐるしく局面が変化するゲーム展開を目指します。そういった意外性や変化のあるものを観て、人は「面白い」と感じると思っているからです。

【次のページ】 "最高の練習"