――内野さんは卒業生ということもあり、これだけの伝統校を指揮する責任感や重圧は、相当なものではないでしょうか?
武南のサッカー部は、偉大なOBの方々が実績を残して栄光の歴史を築き上げてきました。さらに多くの卒業生が指導者としても活躍する中、自分が武南の指揮を執るに当たり、いろいろと考えさせられることはありましたね。「内野に代わってから弱くなった」と言われては絶対に駄目だと思っていました。そうならないようにということを常に言い聞かせながら指導に当たり、この信念だけはずっと貫いています。
武南・内野慎一郎監督
――監督に指名された時、迷いはありませんでしたか?
長く大山先生の近くにいさせてもらい、たくさんのことを勉強できたので、迷いというのは少しもありませんでした。周りの目やプレッシャーは多少なりとも感じましたが、大山先生から指導のイロハを教えていただいたことで、指導の現場に携わる上ではむしろやりやすい側面もありました。先生から吸収したノウハウを知っていたことは本当に大きかったと思います。
大山先生がサッカー部のアドバイザーという肩書の頃、「これはいいんじゃないか、ここはこうしたらどうだろう」と指導者の基礎になることを頻繁にアドバイスしてくれたんです。自分の思い描くスタイルを選手にしっかり伝えつつ、つなぎや運ぶドリブルといった武南の伝統的な特長は継承していこうと思いました。