―――黒田剛監督が今、町田で凄く活躍されています。内野さんも高体連からJクラブに来ましたが、内野さんからみると黒田さんはどう見えていますか?

 黒田さんとは凄く対照的に見られたりするんですけど、黒田さんはトップオブトップの人じゃないですか?僕なんて優勝も何もしてないのに、なんで比較対象に見られるのかな?って昔から思っていたんです。凄く敵対しているような構図を世の中が作っていたじゃないですか?でも僕は黒田さんのことを、凄いとしか思っていなくて。ようやくひとつのあるべき姿が世に出たな、というか成功例が出来たなと。

 オーストリアやドイツで仕事をしているモラス雅輝さん(元浦和コーチ、神戸コーチなど)と食事をさせてもらった時に、モラスさんが「日本の高校の監督はめちゃくちゃ凄い。監督業、コーチング、選手のスカウティングから、進路、さらに生活面までやる。欧州だとスカウトがいて、コーチがいて、監督がいて、進路をみるダイレクターがいて、心理カウンセラーがいて、先生がいる。だから6人分くらいの仕事をやっている」と言われたんです。

 もちろん日本の高校にもコーチがいますが、基本は監督が大体のことをやるじゃないですか?だから日本の高校サッカー界で結果を出している監督は凄い人材だと。でも凄い人材だけど、学校の先生だからプロにならない。本来はちゃんと勝負の世界で結果を出しているから、オーガナイズとか、人心掌握とか、マネージメントとか、全部で成果を見せているんだから、これ以上の結果はない。でも先生だからプロにならないっていう、この矛盾。これが欧州や南米だったら必ずプロになって、名将になっているであろうと。

 階段を登っていてもある一定のところで止まってしまう。というのが日本のサッカー界の一つの停滞しているところで、それをようやく次のステージにいって成功したのが黒田さん。僕からしたらようやく本来あるべき道のりでプロになった。今のJリーグの監督で、何年もユースで結果を出して、そのマネジメント力を買われてトップの監督になった人がいったい何人いるのか。と考えるとやっぱりポッと(トップチームの)監督になっていると思うんですよね。プロのコーチから監督、どこかで監督をやって、0を1にして10にしてというんじゃなくて。

 だから高校で結果を出した人がJの監督をやるようになれば日本サッカーがもっと良くなるんじゃないかと。モラスさんの話を聞いてからはずっとそう思っていたので、それを黒田さんが実現してくれて、めちゃくちゃ嬉しいですし、めちゃくちゃ応援もしているし、また第2第3とそういう人が出てきて欲しいなと思っています。

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