本媒体編集長の佐々木竜太
―実際に一緒に同じ時間を過ごしたわけですが、そこからの印象はどうでしたか?
佐:しっかりと考えて話すみたいなタイプの人と接する機会がそれまであまりなかったので、新鮮でした。サッカーのこともかなり話しましたが、何についても考えて発言をしているなと感じました。
佐:あります。実際に入団してからやっていけるのかなと不安になっている時に岩政さんに相談をし、「足も速くないし、上手くもないから、どうしたらいいですかね?」と聞きました。そうすると、「ゴールを取るために逆算した方がいい。そのために何をするべきかを考えてプレーをしろ」と言って頂き、それで悩んでいたことから吹っ切れました。1年目とかはあんまりベンチにも入っていなくて、考える時間が多くなり悩むことも多かったので、本当にそういう言葉は有り難かったです。
―その話は覚えていらっしゃいますか?
岩:覚えています。(佐々木)竜太がプロに入ってから数ヶ月たった頃だと思います。それは竜太に限らず、鹿島に入るとみんなそうなりがちなのですが、一緒にプレーをする選手が日本代表ばかりで萎縮してしまう傾向がありました。最初はやってやるぞという想いで入ってくるのですが、だんだんと色んなものが見えてきてしまって。そうすると、大御所たちが沢山いるので立ち位置をどこに持ってくるかが分からなくなってしまいますし、日本人なのでどうしても遠慮をしてしまうところが出てきてしまいます。そういうところで僕は心の置き所と言っているのですが、先輩たちとの関係を上手く何とかすることよりも、ピッチの中では我を強くさせることで生きていける世界であることを認識する作業が大事だと思っています。最初はそれが怖いのですが、誰かに言ってもらえると、吹っ切れることが出来るんですよ。竜太とかも最初は先輩たちから言われたから「こうしないといけない」みたいなところがあり、自分をさらけ出すみたいなところまでは持っていけていませんでした。若い頃はサッカーの経験が少ないから「あーしなさい、こうしなさい」と色々と言われてしまいます。だから、それを受け止める必要があるのですが、いちいち全てを気にすることはありません。試合に出ていない若手はそういう扱いですが、試合に出始めると関係なくなります。この世界は年功序列ではないので、そこは遠慮する必要がないと話しました。そこからは良くなったと思いますけど、ただ、良くなったという表現ではないかもしれません。その人が変わったわけではないからです。その人が持っていたものを心の置き所を作ることで、自分を表現出来るようになるのだと思います。それが結構、難しいと思うのですが。
【第2回】では両名の高校時代など存分に語ってもらった。こうご期待。
(文・取材 松尾祐希)