F & V 先崎勝也代表

 先崎勝也、33歳。彼は現在「F & V」という会社の代表取締役だ。かつて高校サッカー界の名門・静岡学園の10番を背負い、大学卒業後はプロチームへと進むなど華やいだサッカー人生を送っていたが、28歳にして現役を引退。ビジネスマンへと転身した。現在、彼は高校、大学年代のサッカー選手及びチームのレベルアップを後押しする「nowtis(ノーティス)」というフィジカル測定を事業化し、推進している。このnowtisとは一体どういったものなのか、また、どういったチームがnowtisを取り入れているのかなどについて、先崎氏に話をうかがった。

ーー「nowtis(フィジカル測定)」とはどんなことか簡単にご説明いただけますでしょうか?

 現在はサッカー界を中心に展開している取り組みで、例えばJリーグのチームだったり大学のチームだったり、高校のチームだったり、各々でフィジカル測定をやっているチームって結構多いんです。ただ、やっている測定項目が各チームで異なっているので、自チーム内での比較やコンディションニング確認はできるんですけれども、他チームとの比較や、高校生と大学生など異なるカテゴリーとの比較はできないんです。

 また、同じチームであっても、例えば監督が変わったり、フィジカルトレーナーが変わったりすると、測定項目自体も変更になってしまうことが多くて、Jリーグなどのトップチームであっても、3年、5年、10年と同じ項目で測定して、データをチームの資産として残しているところがあまり無かったんです。だったら我々が、それを共通項目で測定してデータを共有しようと。そうすることで、選手目線では自チーム内だけではなく、他のチームだったり、先輩たちのデータと比較することで、「自身のストロングやウィーク」など明確な目標値になりますし、チームとしては中長期的に同項目で測定し続けることで資産にもなると思うんです。nowtisを通じて、サッカー界全体のレベルアップが図れれば良いなと。そんな取り組みなんです。

ーー項目としてはどのようなものがあるのでしょうか?

 項目としては「30mダッシュ」。これは初速の5m、10m、中間地点の20m…と各数値を測定します。それと「アジリティテスト」。これはターンだったり体の使い方を見るものです。それからジャンプ系では上に跳ぶ「垂直跳び」と前に跳ぶ「立ち幅跳び」があります。あとは「Yo-Yoテスト」というシャトルランのようなものなんですけれども、回復力、心肺機能を測定するものなどがあります。

 これらの項目は、我々が独断で決定したものではなくて、Jリーグのフィジカルトレーナーの方でしたり、JISS(国立スポーツ科学センター)のスタッフの方に相談させていただいたり、日本サッカー協会が推奨している項目を参考にさせていただいたりするなどして決めたものなんです。

ーー導入している高校や大学などはどういったところでしょうか?

 まず初年度から関東大学サッカー連盟さんとタイアップという形でこの取り組みをやらせていただいています。ざっと挙げると駒澤大学さん、拓殖大学さん、桐蔭横浜大学さん、法政大学さん、立正大学さん、流通経済大学さんなど、高校では母校でもある静岡学園さん、藤枝東さん、浜松開誠館さん、清水桜ヶ丘さん、東海大翔洋さん、関東では市立船橋さん、流通経済大柏さん、中央学院さん、日大藤沢さん、西武台さん、正智深谷さん、関西では京都橘さん、興國さんなど。強豪チーム中心に取り入れて頂いております。指導者の方からも「これは必要な取り組みだよね」ということで積極的に導入していただいていますね。

 ただ、この事業をやっている我々の使命としてはサッカー界の底上げなので、強豪チームだけでなく、「強いチームに勝ちたい」と思っっているチームや、「県大会に出たい」などと考えているチームなど、より多くの高校や大学などと取り組んでいきたいなと思っています。

次回は自身の高校時代の経験やnowtisの反響について話を聞く。