2018年、茨城県城里町に誕生したクラブの拠点「アツマーレ」脇にある広々としたピッチ

 2016年に水戸ホーリーホックで強化部長に就任し、現在は取締役GMを務める西村卓朗氏。規模としては決してビッグクラブとは言えないながらも着実に成果を残し、J1へも多くの選手を送り込んでいる。売り上げも伸び、強化予算も増えているという状況の中、水戸ホーリーホックが見据える今後の目標などについて話をうかがった。

ーーそしてVONDS市原FCから水戸ホーリーホックへと移籍されるわけですが、水戸とはどんな縁があったのでしょうか?

 VONDS市原FCは地域リーグの中ではビッグクラブなんです。施設、ハード面が本当にしっかりしていて。僕が市原に行った初年度は関東2部から1部に昇格できたので、監督としても自信を持つことができました。

 GMもやっていましたし、2014年くらいからは予算を投じてプロ選手も獲得できていたんです。2015年には天然芝1面、人工芝1面、クラブハウスもできるという、地域リーグでは夢のような環境でやらせてもらって。ただビッグクラブだったので昇格を義務付けられていたようなものだったんです。1年目は昇格、2年目は2位、3年目も2位で。つまり結果が出せなくて契約満了に至ったというわけです。

 契約満了後に「この後どうしよう」と考えた時、「このままサッカー界に携わっていていいのか?」ということと、「より安定してサッカーと関わるには、自分で本業をしっかり持ちながら空いた時間に関わっていく方が腰を落ち着けてクラブに身を置けるんじゃないか」ということ考えて、少しの間、就職活動をしたんです。そうしているうちに、これも縁なのかも知れないんですけれども、「水戸ホーリーホックが強化部長を探しているよ」という話が入って。再びサッカーの世界に目が向きました。

 Jリーグの強化部長をやったことはなかったんですけれども、VONDS市原FC時代の経験は活きるかもしれないですし、自分としてもチャレンジだということで話を聞き、縁ができたという感じです。

ーー水戸ホーリーホックでは強化部長とGMを経験されるわけですが

 2016年に強化部長に就いて、本当にわからないことだらけだったんですけれども、意欲と体力があった分、仕事に没頭して2年くらいは「Jリーグの強化部長たるもの」という感じでいろいろと模索し続けて行動していました。そうしているとだんだんと結果も出てきて。2018年には「アツマーレ」という施設ができることも決まっていましたし、J2の水戸ホーリーホックというチームの中では大きなアドバンテージになると思っていたので、ここを最大限活用してさらにチャレンジしていこうと。

 このチャレンジとは何かというと、チームが強くなるためにはどうしたらいいかということ。自分自身も特別な経歴があったわけではないのですが、自分をどうしたらアップデートできるのかということを大学時代や現役時代にやり続けていた分、マネジメント側にまわった時に、その経験が活きたんです。

 そういう策をいろいろと施していったらチームの成績が良くなっていったり、選手が伸びていったりということになっていたのが強化部長時代で。

 その後GMに就任するんですけれども、そこには「チームにはGMが必要だな」と考える経緯があって。周りのチームは強化予算も増えて成長していて、そういうチームと戦い続けなければいけないとなった時に、水戸ホーリーホックとしてもクラブの運営予算も全体的に増やしていきたいと考えて。そうした時にどうしたら良いかを考え、結果として「GMがいない」ということも1つの原因じゃないかということに辿り着いたんです。

 事業自体が大きくなって、スポンサーも増えて、チケット収入も増えていけば、選手の年俸や強化予算も増えていく。そういうサイクルにするためには、ビジネスサイドの人間がもっと多い方がいいんじゃないかと。それでGMになってからは人事権も持つようになって、人を採用して、適切な配置にしていったり。そうしていると、少しずつ売り上げが伸びていって、強化予算も増えていき、移籍金を得たりして強化部としても売り上げが立てられるようになっていったんです。

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