ーーその中でポルティモネンセを選んだ理由とは?

 中島翔哉君があれだけ活躍していて、ステップアップでポルトにいって、僕も海外に移籍したいって思ってから海外の試合を見始めてチャンピオンズリーグにも出たくて、年齢的にも24歳の時に行ったので海外ではギリギリの年かなという感じなので。
 ポルティモネンセで中島翔哉君がステップアップするのをみて、僕も同じような絵を描きたいなと思いました。

ーー昨年の夏からポルティモネンセに移籍されて、入ってみてどんなレベルを感じましたか?

 日本とサッカーが全然違うので、もちろん一人一人の身体能力も高いですし、ここにいたら上手くなれるし強くなれるなと思いました。

ーー実際に練習や試合をしてみて安西選手が、自分のプレースタイルの強みはどんなところになりますか?

 昔から体力に自信があって、運動量で対人の選手に勝つというのが強みであって、走り負けないというのが一番の武器です。日本ではドリブルもできたし、ある程度攻撃の部分は全部できていましたけど、海外でドリブルで抜くっていうことはなかなか難しいことで、やはり足伸びてくるし、対人はすごい強いし、だからプレースタイルは少し変わりましたね。

ーーサイドバックは周囲との連携が大事になってくると思うのですが、チームメイトとは最初からうまく行っていたのですか?

 海外の選手はサイドハーフの選手が自分で行く選手が多いので、日本で当たり前に出てきたボールが出てこないから、すごいフラストレーションがたまっていましたね。でもやっぱりずっと言い続けていたら、最初10本中1本しか出てこなかったところが3,4本は出てくるようになったという感じで、もうちょっと欲しいんですけどね

ーー1シーズンやってイメージのギャップは埋まってない?

 埋まらないですね。ここで僕が一番ストロングが出せるっていうところでボールが来なかったりするから、そこに関してはストレスを感じますね。

ーー昨シーズンでポルト戦のゴールなどハイライトシーンはいっぱいあったと思うのですが、安西選手が成長を感じたエピソードやターニングポイントになった時期はいつでしたか?

 試合に出ている時、選手はメンタルも問題ないし、試合でやればいいだけだし、監督が変わって、1試合目は出れたのですが、アウェイのポルト戦でベンチになって。中島翔哉君とマッチアップできると思っていたので、すごく楽しみにしていましたが...それでも出れなくて。
 監督とちょっと揉めて、練習とかも自分はちゃんとやっていたつもりだったんですけど、周りの人からしたら見えてなくて、そこで練習中に権田さんと喧嘩して。その時に権田さんに言われたのが練習は自分のためにやる、試合はチームのために出すものだと。

 試合に今まではちゃんと使ってもらっていて、初めての経験だったので、出れないのが。「自分がW杯にでたいという目標があるなら、練習は自分のためにやれ」ということを言われて、その時は納得しなかったですが、とりあえず練習やってみようと思って100%でベンチ外になった時も18,19歳と一緒に練習したりもしたし、日本だったら、移籍するっという感じになりますけどとりあえず一生懸命やった。
 そしたら徐々に監督の信頼を取り戻してきて、最後は残留争いしている中でスタメンで使って貰えたので、あそこで権田さんと揉めてなかったら、うまくサッカー選手としても人としても成長できなかったと思います。

ーー安西選手がJリーグ時代と、ヨーロッパでのシーズンで、サッカーに対する捉え方というのはどういうふうに一番変わりましたか?

 やはり結果が全てなので、本当に1点取ったら人生変わるってみんな言っていて初めは理解できなかったのですが、海外行って初めてわかった。ポルト戦で僕も1点とって、ポルトガルの人からの印象がすごい変わったし、だから本当に1点取るだけで人生変わるっていう感覚なんですよね。
 Jリーグは1点取るのが大事ですけど、ちょっと結果出したなと思われるぐらいでそこがすごい違うなと思いました、捉え方が。

ーー今回、外国人枠として参加していると思いますが、その意識はどうですか?

 試合に出ている時はチームメイトも受け入れてくれるし、僕も意見できるんですけど、出られなくなってから、あいつ給料高い外国人だし、払ってるのに稼働率低いなみたいな目で見られる感じはあり、その辺は自分も意外と神経質なので。ただ、自分がやることをしっかり見定めないといけなかったので、権田さんの話に戻りますが、外国人としてやらないといけないことがわかった。
 あとは鹿島が気持ちよく送り出してくれたので、そのためにやらないといけないなと感じました

ーー1年間ヨーロッパでシーズンを経験して、これから海を渡るであろう若手Jリーガーに向けてアドバイスできるとしたらどんな言葉を送りますか?

 内田篤人君が行く前に“結局、最後は根性だ”という話をしたんですよ。どんな意味か分からなくて、我慢強くやったやつが勝つと言っていた。その意味が海外に行ってわかって試合に出ている時は良い、出られなくなってから、メンバーから外された時に自分の人間味としてそこで根性だしてやれとか、悩み事を言える人も近くにいないし、だから根性強くやるっていう、それが一番大事だと思います。

ーーJのチームがより海外のチームと対等に戦っていくためには日本人には何が必要になってきますか?

 難しいですね、1つはプレースピードですかね。日本では守備ブロックを作ってから攻めることが多いですが、海外はブロックを作る前に攻めるのが主流というか多いので、全然やっているサッカーが違う。
 日本には日本の良さがあるし、海外には海外の良さがある。海外・ヨーロッパの方が強いとなると、そっちのプレースタイルに変えていかないといけないのかなと思います。

ーー2年目の抱負は?

 まずはステップアップしたい。1日1日で全力を出して、上手くなることを目標にやっています。

【記事提供元】メディアコネクト
(取材=クリスティアンGマーティン(BEスポーツメディア)/ 文=池田鉄平 / 写真=コネクト株式会社提供))