―考えることを習慣付けるということは大事ですね。指導者のアプローチとしてはどうするべきなのでしょうか?
岩:ただ、考えなさいと言うことばかりだと子供たちは止まってしまいます。だから、考えなさいと言うのではなく、原因を探りなさいと子供たちに伝えることが大事だと思います。原因を探る作業がなければ、そもそも考えることはありません。「何故、これが起こったのかという原因を探る作業。これをすることでどうしたら良いのかというのが自然に出てくるので、自然と考えることに繋がっていくと思います。
執筆する現役サッカー選手・岩政大樹
―逆に考える力を岩政さんが養えたのは何故でしょうか?
岩:人の頭の中との比較なので難しいですけど、少なくとも自分は中学生の時から、人と比べても考えることが多かったように思えます。色んな知りたかったので、原因を探る作業を自然と僕はやっていました。それをやる人間が伸びていると思いますし、サッカーで生き残っている選手はだいたいそういうことをしていると思います。
佐:大樹さんが言っていることは僕も分かります。シュートが入らなかったら、その原因を僕も考えていました。今まで「原因を探る」という言葉は使わなかったですが。相手が寄せてきたから入らなかった、どうしたら寄せられなかったのかとか。寄せられた時にどうプレーをすればシュートが入るのか。上手くなる選手はそういう考え方で小さい頃からやっている気がします。それを言葉にすると、掘り下げるということになりますが、それをやるためには各自が考えていかないといけません。こっちから答えを言ってしまうと、答えをいきなり与えてしまうことになるので。
岩:伸びる選手は勝手にやるのかもしれませんが、そもそもサッカーへの捉え方が違うと思います。日本は言われたことを一生懸命にやるという文化があります。なので、サッカーもそう捉えがちです。チームとしてこうしますとか、決めてもらってそれをやるためにどうするかを考えましょうという選手が多くいます。でも、サッカーは違っていて、より良い判断をするために動かないといけません。なので、チームのために答えを用意するのとは別に、また自分で答えを作っておけば良いと思います。考えましょうと選手たちに伝えると、まずはチームとして約束事を決めますが、それが上手くいかなければ正解ではなくなります。正解をチームで決めるのではなく、1人ひとりで答えを見つけていくことが大事になります。サッカーはバントしましょうと言われて、やるものではありません。考える作業を促すことが指導者は大事ですし、選手たちはそこが大きな差になることを認識すべきだと思います。
次回の最終回では高校時代の岩政さんの勉強法を紹介。
(文・取材 松尾祐希)