昨年完成した栃木シティFCのホームスタジアム「CITY FOOTBALL STATION」。学生の実習でも使用する(写真=多田哲平)
――ピッチ外での人材……つまりクラブスタッフですね。
大迫 はい。チーム運営というのは選手だけでは成り立ちません。他にチームを支える人がたくさんいるわけです。しかし今の高校生は、将来、大好きなサッカーに関わりたいと言うけれど、どんな職業があるかを知らない子が多い。なのでサッカーへの思い入れが強い子たちの将来の職業選択のひとつとして、この栃木シティ学園が大きな意義を持つと思っています。正直なところクラブスタッフというのは一般の企業のように新卒の人材を採用するチームは少ないので、クラブチームとのコネクションも経験もない高校生からすると、業界に入るハードルはものすごく高い。ですから、その間をつなぐ我々のような学校がサッカー・フットサル業界にとって存在価値があるはずだと、そう考えたわけです。
――選手だけでなく、クラブスタッフを育成する組織は日本では数が少なく、画期的とも言えます。
大迫 選手を育成する組織はたくさんあります。ある意味、大学もそのひとつですよね。なので我々としては選手以外のスタッフ育成の部門も重要視しています。クラブスタッフを育成する学校が誰にでも作れるかと言うと、そうではありません。実習をするための物理的な環境がどうしても必要になりますし、講師にしても当然経験と知識のあるスタッフを集めなければいけません。つまり参入障壁はすごく高い。しかし我々は「栃木シティFC」と「しながわシティフットサルクラブ」がありますから、その組織と環境を有効活用して、実習や実践的なことをプロのスタッフから直接学ぶ場を提供できる。だからこそ、こうした学校を作ろうと思えったんです。
――身近にプロチームがあるリアルな環境で学べるというのは他にはない強みですね。
武藤 栃木シティ学園は栃木県から認可をもらって学校法人として立ち上げる予定で、「栃木シティFC」と「しながわシティフットサルクラブ」とは別の組織にはなりますが、同等の環境で活動することができます。昨年完成した「CITY FOOTBALL STATION」は観客席とピッチサイドの距離が5mしかなく日本一観客席とピッチが近いサッカー専用スタジアムで、J3のクラブライセンス基準を満たしていますし、専用の練習場などもあり、ハード面は充実しています。それにトップチームやアカデミーに在籍する専門知識を持つスタッフもいる。クラブと密に連携が取れ、融通が利く育成組織というのは、他にはそう多くはありません。
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